https://news.yahoo.co.jp/articles/512355f514c47259b980c3fe1f80b8436f63d541
 アマゾンの密林に眠っていた2500年前の古代文明の都市群が、一挙に発見された。
発見の鍵となったのは、自動運転にも使われるLiDAR(ライダー)技術だ。

高低の木々がうっそうと生い茂るアマゾンの密林は、複雑な植生が遺構を覆い隠し、古くからの遺構の発見を困難にしている。
伝統的な徒歩による調査でも、あるいは従来型のスキャン技術を併用しても、植生を透過して遺構を発見することはこれまで困難だった。
しかしここ数年でLiDAR(Light Detection And Ranging;レーザー光による検出と距離測定)の改良が急速に進んだ。
上空の航空機から放ったレーザー光のパルスで樹林を貫通し、表土下の構造物をスキャンすることが可能になった。

今回、フランス、ドイツ、エクアドル、プエルトリコの国際研究チームがLiDARを活用し、アンデス山脈の東麓に位置する
南米・エクアドルアマゾンのウパノ渓谷で先ヒスパニック期の密集した都市群を発見。
研究内容は1月11日付で米科学ジャーナルの『サイエンス』に掲載されている。

■300kuの広範囲を上空から検出
ウパノ渓谷で今回発見された都市群は、アマゾンでこれまでに見つかったなかでも最古かつ最大規模のものだ。
広い大通りや直線状の複数の道路、そして広場や巨大な基礎構造の集まりなどを特徴とする。

発見場所は南米大陸の北方、コロンビアとペルー国境を接するエクアドルにおいて、国土を縦貫するアンデス山脈の東側に広がるアマゾンにあたる。
チームはこの地で20年以上にわたり、旧来の徒歩などによる調査を続けてきた。

研究チームは地上での発掘調査に加え、調査対象としていた約600kuにおよぶ対象地域の南半分、
およそ300kuの上空に航空機を飛ばし、LiDARによるセンシングを行った。
こうして収集されたLiDARの観測データを分析したところ、南側地域に6000カ所以上の土塁が存在することが判明したという。

土塁は集落中央にある正方形の広場を中心に、それを取り囲むように点在。3つから6つほどの群に分かれて配置されていた。
発見された土塁には円形のものも一部あるが、多くは長方形となっており、その大きさは約20m×10mほどであった。
紀元前500年から紀元600年に栄えたキラモペとウパノの集落の人々は、土塁を築き、その上に住居を構えていたと考えられている。

このほか、集落によっては、儀式的な役割を担ったと考えられる比較的大型の施設跡(最大140m×40m)や、集落を囲む塹壕のような存在が確認されている。
また、集落外では、集落同士をつなぐ直線的な道路(最大25km)や、水路と段々畑のような耕作の遺構が確認された。

■アマゾンの部族の固定観念を塗り替える
今回、厚い樹林をレーザー光で貫通して検出できるLiDARによるリモートセンシング技術を導入したことで、広域にわたる都市群の姿が鮮明になった。
フランス国立科学研究センター(CNRS)の考古学者で、論文の筆頭著者でもあるステフェン・ロスタン氏は、米CNNの取材に対し、
この発見を「信じられない」と表現している。
「ライダーによってこの地域の全体像を把握することができ、遺跡の大きさを大いに理解することができました」「LiDARが最後の仕上げの役割を果たしたのです」

さらにロスタン氏は、複雑な住居跡や耕作地の跡が発見されたことを受け、アマゾンの部族の生活のあり方を再考証する必要があるとも述べている。
「熱帯雨林の先住民族は、みなが食料を求め森に迷い込んだ半遊牧民族というわけではなかったのです。
彼らは多様で、なかには都市的なシステムや階層化された社会を持つものもいました」

こうした都市の人口を見積もることは難しいが、都市は2500年前から最大で1000年間ほど栄え、
10万人規模とはいわずとも数万人程度の人口を擁していたと見積もられている。

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