能登半島地震の発生から1か月を前に読売新聞が実施した石川県の被災者へのアンケート調査では、多くの住民が被災地外への「2次避難」をためらい、今後も住み慣れた地元にとどまりたいと考えていることが明らかになった。一方、被災前の生活に戻るのに長期間かかるとみている被災者も多く、さらなる過疎化を心配する声も聞かれた。

「船がないと」

自宅が半壊し、倉庫で過ごす輪島市の電気工事業の男性(74)は2次避難に応じない理由として、「仕事をしなければ生活できないし、地元に少しでも貢献したい」と回答した。

 被災者の命と健康を守るため、県などが呼びかけているホテルなどへの2次避難について「応じるつもりはない」とした89人に、理由を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「仕事」の32人だった。輪島市の漁師の男性(71)は「船を残して出られない。船がないと仕事がない」と答えた。

 「古里に戻ってこられるか、わからない」を理由に挙げた人も12人いた。長年、穴水町で暮らす男性(70)は「気心の知れた人たちと離ればなれになるのが嫌。今でもみんなで冗談を言い合っとるだけで、気が楽になる」と語る。

 ただ、2次避難した輪島市の男性(39)は「避難所はトイレやシャワーなどの衛生面で不安を感じた。改善が必要だ」とした。

 アンケートで「不安に思っていること」を聞いたところ、「住まいの確保」「避難生活の長期化」を挙げる人が多く、生活拠点の先行きを心配する声が目立った。

「愛着」最多
 調査では今後、住みたいところも尋ねた。「被災前と同じ場所」が86人、「被災前と同じ自治体内」が24人で、あわせて8割超に上った。理由は「住み慣れた地域や人に愛着がある」が71人と最多で、「仕事がある」が22人だった。

 穴水町の自宅が津波被害に遭った女性(74)は「生まれ育った地元以外のところに行くなんて考えられない」と語る。地元の学童保育で手伝いをするなど地域とのつながりも強く、「再開したらまた子どもたちと触れ合いたい」と願う。

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