カメラ映像機器工業会(CIPA)は1日、2023年のデジタルカメラの世界出荷額が22年比5%増の7143億円だったと発表した。3年連続でプラスとなった。人工知能(AI)など先端技術を搭載したミラーレスカメラの人気が市場を押し上げている。平均単価は9万円台となり、過去最高を更新している。

市場をけん引しているミラーレスカメラの出荷額は11%増の5804億円、出荷台数は19%増の483万台と大きく伸びた。出荷額ベースでは一眼レフカメラやコンパクトデジカメをおさえて市場全体の8割超を占めた。各社がAI技術を使った被写体認識機能などを搭載した高機能ミラーレスカメラを相次いで投入しており、需要を取り込んだ。

デジタルカメラはレンズを取り換えられるミラーレスや一眼レフの「レンズ交換式」と、ボディーとレンズが一体になったコンパクトデジカメと呼ばれる「レンズ一体型」に分けられる。レンズ交換式カメラの出荷額は4%増の6370億円、レンズ一体型の出荷額は9%増の772億円だった。

地域別にみると中国が25%増の1799億円と増加幅が最も大きかった。景気減速が続くなかでもデジカメ需要の強さが鮮明となっている。日本は4%増の626億円、欧州が7%減の1585億円、米州が1%減の1734億円だった。

レジャー消費の盛り上がりが市場の追い風となった。新型コロナウイルス禍後に旅行に行く人が増えて、カメラを購入する動きも広がっている。CIPAは「非常に堅実な需要が続いており、春以降も弱い印象はない。どこかで弾みがついても不思議ではない」と見通す。夏にはパリ五輪が開かれ、カメラ各社が最新機種を投入する見込みだ。

日本経済新聞 2024年2月1日 13:03
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