https://news.yahoo.co.jp/articles/6514b33e91d152d6a8e894a07715a34b9317de1a
 60億年前に形成された太陽系外惑星を取り巻いている、水を豊富に含む大気をハッブル宇宙望遠鏡(HST)で検出したとする研究結果が発表された。
この系外惑星は、太陽系からわずか97光年の距離にある。

米航空宇宙局(NASA)によると、この系外惑星「GJ 9827d」は、直径が地球の約2倍で、太陽系の海王星と金星の両方と共通点がある。
大気中で水蒸気が検出された系外惑星としては、これまでで最も小さい。

■画期的な出来事
うお座の方向にあるGJ 9827dでの水の発見は、画期的な出来事だ。
今回の研究結果を発表した天文学者チームの1人で、独マックスプランク天文学研究所の太陽系外惑星大気物理学部門を統括するローラ・クライドバーグは、
プレスリリースで「これにより、真の地球型惑星の特徴の解明に、かつてないほど近づくことになる」と述べている。
今回の水蒸気の検出によって、銀河系内に存在する水が豊富な惑星に関する理解が飛躍的に前進するかもしれない。
惑星に水があるかどうかは、生命存在の可能性を判断するうえで極めて重要な要素となると考えられるからだ。

研究チームの1人で、カナダ・モントリオール大学のトロティエ太陽系外惑星研究所(iREx)のビョルン・ベネッケは
「水を豊富に含む大気を持つ惑星が太陽系外の恒星系に実際に存在する可能性があることを、
大気内での検出を通じて直接的に証明できるのは、今回が初めてだろう」と指摘している。
「これは、岩石惑星の大気の保有率と多様性の解明に向けた重要な一歩だ」。
今回の研究結果をまとめた論文は、The Astrophysical Journal Lettersに掲載された。

■高温多湿の惑星
GJ 9827dは主星の近くに位置しているため、金星と同じくらい高温で、かつ多湿の惑星である可能性がある。
だが、惑星大気の主成分が水なのか、それとも水素を多く含む希薄な大気なのかは、まだ判断がついていない。
GJ 9827dに関して問題となるのは、その年齢と主星との近さだ。
形成されてから60億年が経過しているため、主星からの強力な放射のせいで、当初から存在していた水素の大半を失っているはずだ。
「比較的小型の惑星を調査していると、ある時点で惑星上から水素がなくなり、二酸化炭素を主成分とする、
金星により近い大気を持つようになる転換期があるに違いない」とベネッケは説明している。

半分が水で半分が岩石の惑星である可能性も
■半分が水で半分が岩石
あるいは、別の可能性もある。
GJ 9827dは、水蒸気を含んだ、水素に富むエンベロープ(水素とヘリウムからなる外層ガス状領域)をいまだに保持している、
ミニネプチューン(スーパーアースより大きく、海王星型惑星より小さい系外惑星)の可能性があると考えられる。
もう1つの可能性としては、木星の衛星エウロパの気温を高くしたような天体かもしれない。
エウロパの氷殻の下には地球の2倍の水が存在している。
「GJ 9827dは、半分が水で半分が岩石の惑星かもしれない」とベネッケは指摘する。
「小さな岩石質の本体の上部には、大量の水蒸気があるだろう」。
もしGJ 9827dに水を豊富に含む大気が残っているとすれば、主星から遠く離れた場所で形成された後に、主星の近くまで移動したに違いない。

研究チームは最近、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)によるGJ 9827dの観測を実施したため、間もなくさらに多くのことが明らかになる見通しだ。
クライドバーグは「この観測データによって何が明らかになるのかをこの目で確認するのがとても待ち遠しい」と話している。
「これで水の惑星の問題をきっぱりと解決できればいいのだが」