「所沢市職員だった息子が自殺したのは不慣れな部署への異動が原因」として、父親で長野県東御市の元市議平林千秋さん(79)が8日、小野塚勝俊市長と面会し、公務災害認定申請での協力を求めた。(中里宏)
 会見した平林さんによると、息子の純さん=当時(51)=は昨年6月、東京都奥多摩町で自殺とみられる遺体で見つかった。
 同年3月15日、7年間在籍した松井まちづくりセンター(公民館)から保育幼稚園課への異動を内示され、「その日から眠れなくなった」と周囲に話していた。仕事は希望者の入園の可否に関わる入園グループリーダーで「知識もなく、資料を見てもよく理解できない。間違ったらどうしようと不安だ」として、4月10日に退職願を提出。
 しかし、当時の市長から「平林君ならまだ頑張れるのでは」との趣旨の手書きメッセージを職場から渡され、同25日、退職願を取り下げた。この間、受診した病院で「抑うつ状態、適応障害、不眠症、基底に発達障害」と診断されていた。復帰後の5月12日、再び病院で適応障害の診断を受け、休職。6月7日を最後に連絡が取れなくなったという。
 父親の平林さんは「役所の異動内示には強制力があると受け止められているが、最終決定前に本人の意向を確認するなど柔軟な対応が取れないのか」と話す。また、純さんが介護保険課勤務時代にうつ症状で精神科クリニックを受診した記録が職員課に残っており、「そのときの情報が共有されていれば対処法があったのでは」とも話した。
 さらに、多くの自治体が休職者の扱いを「現場復帰を原則」としていることについて「このまま続けていいのか」と問題提起した。

東京新聞 2024年2月10日 08時15分
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