ホテル経営夫婦になにが…2018年に家族3人死亡 「幼児といる所見たことない」の声も 台東区の4歳次女薬物死

 夫婦で共謀して昨年3月、当時4歳の次女・美輝(よしき)ちゃんに化学物質や薬物を飲ませて殺害したとして、警視庁捜査1課は14日、殺人の疑いで、ホテル運営会社社長の細谷健一(43)と妻志保(37)=東京都台東区=の両容疑者を逮捕した。
◆親切な父、派手な母、人懐っこい子だった
 志保容疑者は14日午前10時前、捜査員に付き添われ、両手で顔を隠して自宅マンションの外に現れた。健一容疑者は30分後に現れ、前を向いたまま捜査車両に乗り込んだ。
 同じマンションの女性(34)は健一容疑者について「私がエレベーターに乗ろうとした時、扉が閉まらないようボタンを押してくれた。親切で優しいと思った」と話す。別の住人女性(22)は志保容疑者を「ピンク色のワンピースを着るなど派手な印象。事件を起こすようには見えない」と語る。2人とも夫婦が幼児と一緒にいる所を見たことがないという。
 美輝ちゃんは長男(10)、長女(8)の3人きょうだい。息子が保育所で美輝ちゃんと同じクラスだったという女性は「元気が良くて人懐っこい子。お遊戯会でお父さんを見かけた。こんなことになって悲しい」と話した。
◆父とのトラブルで事業から離れた時期も
 関係者によると、健一容疑者は台東区で皮革加工会社を営む父親の長男として生まれた。2009年に志保容疑者と結婚。東京スカイツリー開業の12年、インバウンド(訪日客)需要を見込んだ父が浅草でホテル経営を始め、健一容疑者は支配人を任された。

 「事業資金を巡り父親とトラブルになった」(取引先)ことから一時ホテル業を離れたものの、長男と長女の誕生をきっかけに、父親が健一容疑者を「後継ぎにしたい」と呼び戻した。
 細谷家に異変が起きたのは18年。1月に健一容疑者の母親=当時(68)、4月に姉=同(41)、6月には父親=同(73)=が相次いで死去。健一容疑者は6月、後継の社長に就いた。
 昨年8月に警視庁の強制捜査を受け、健一容疑者はホテルの従業員に「捜査は経営に関係ないから心配しないでほしい」と説明したという。現在は夫婦でホテルを経営。今年1月中旬には2人でにこやかに歩く姿が見られた。(鈴鹿雄大、浜崎陽介、佐藤航、加藤健太)

東京新聞 2024年2月15日 06時00分
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