中間管理職の過重負担が最大の組織課題に――。人材育成支援のリクルートマネジメントソリューションズ(MS)が、人事担当者と管理職を対象に実施した調査でこんな結果が出た。多くの管理職が人材育成に難しさを感じており、管理職を希望する社員も減少。企業を悩ませている。

 「会社の組織課題」について選択形式で尋ねたところ、人事担当者の65・3%、管理職の64・7%が「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」と回答した。2020年に調査を始めて以降、中間管理職の過重負担の選択率がトップになるのは、人事、管理職とも初めて。

 ほかの組織課題としては「次世代の経営を担う人材が育っていない」「中堅社員が小粒化している」が多く選ばれた。管理職の役割として「メンバーの育成」を挙げた人が人事、管理職とも多かった。リクルートMSは「企業が求める人材が想定通りに育っていない」という。

 そんな中、管理職に負荷がかかる一因として、リクルートMSは「プレーヤー(現場)業務の多さ」を指摘する。管理職に「マネジメント業務」に携われている比率を聞くと、「50%」が20・7%で最多だった。次いで「80%」が16%と、現場の業務と管理職を兼務する「プレーイングマネジャー」の人が大半を占めた。

 プレーヤー業務をする理由として多いのは「メンバーに知識・スキルが不足しており仕事を一任できない」(34・2%)。「日々のマネジメントで難しいと思うこと」についても、「メンバーの育成・能力開発」を挙げる人が56%と多く、手詰まりの様子がうかがえる。

 管理職の苦労する姿が影響したのか、中堅社員の「管理職離れ」も進んでいる。人事担当者に「課長・マネジャー候補育成、選抜の難しさ」について聞くと、「課長・マネジャーになりたい社員が減っている」が42・7%に上った。

 リクルートMSは、メンバー育成など管理職への期待が高度化していることを挙げ、「人材育成を組織的に実施していくことが、管理職の負担減につながる」と助言している。

 調査は人事担当者と管理職それぞれ150人を対象に、2023年6月にインターネットで実施した。【嶋田夕子】

毎日新聞 2024/2/17 13:49(最終更新 2/17 13:49)
https://mainichi.jp/articles/20240217/k00/00m/020/097000c