●岸田の雰囲気がこれまでと違う
「引き続き刷新本部でバシバシご自分の意見をおっしゃってください」

菅義偉は目の前で調子良くまくしたてる岸田文雄を訝しげな目で眺めていた。いままでとはどこか雰囲気が違う。この男、何を考えているのか……。

2月8日、岸田は突如として議員会館の菅事務所を訪れた。

「菅さんに乗り換えたのか?」「麻生(太郎)さんへの当てつけだろう」

永田町には疑心暗鬼が渦巻いた。岸田の狙い通りだった。『中央公論』3月号のインタビューにはこう答えている。

〈「発信する力」についてもより充実させていきたいです〉

これまでは自民党の長老たちの顔色を窺い、ろくに言いたいことも言えなかった。しかし、老人が牛耳る派閥政治の時代は終わった。これからは「個人が発信」する時代だ。そして菅訪問こそが、岸田が麻生へ送った明確なメッセージだった。
「麻生さんは元岸田派の上川陽子外相を『このおばさん、やるねえ』と持ち上げた。要は『ポスト岸田に担ぐぞ』と岸田さんを牽制したわけだ。

●森が車椅子から立ち上がった!
これに岸田さんがキレた。そっちがその気なら、こちらは菅とだって手を組むんだとやり返した」(自民党関係者)

麻生は慌てふためいた。おとなしくなると思っていた岸田が、ますます噛みついてきたからだ。

「上川さんを本気で担ぐとなれば、総理の座を狙う河野太郎さんや茂木敏充さんまで離れていってしまう。麻生さんとしては、あくまで岸田さんに釘を刺すために上川さんの名前を出しただけでした」(同上)

自分に尻尾を振りそうな部下を物色し、カマをかけて主導権を握ろうとする―。こうした「長老仕草」がかえって人心を遠ざけていることに、麻生は気づいていない。

続きは週刊現代 2024/02/19
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