※毎日新聞
2024/2/21 11:00(最終更新 2/21 12:39)

 能登半島地震の被災地で、JR東日本の交通系ICカード「Suica(スイカ)」が避難者情報の把握に一役買っている。デジタル技術を使ったサービスが被災地支援につながった形だが、河野太郎デジタル相にとっては素直に喜べない事態となっている。

「避難所スイカ」の評判は?

 2月7日、石川県志賀町の2カ所の避難所で被災者に無償配布したスイカによる運用が始まった。県庁のサーバーに、あらかじめ被災者から聞き取った名前や住所などを登録。これにスイカの番号をひも付けることで、利用者が避難所に設置した読み取り機にカードをかざすだけで、各避難所の利用状況が県庁で集約できる仕組みだ。

 県によると、避難所を利用する被災者の中には、夜間は自宅や車で一夜を明かすなど避難所を離れるケースが多い。避難所は支援物資の配布拠点ともなっており、日々の利用状況が分からなければ適切な配布も難しいという問題もあった。

 スイカを利用することで避難所の状況把握を進め、よりきめ細かな被災者支援を可能にする狙いがある。高齢者らの所在確認もでき、志賀町の富来(とぎ)活性化センターでスイカを受け取った小釜久武さん(71)は「ラクやね。安否確認してもらえるのは大事」と笑顔で話した。

 背景には地震発生後、被災者の所在把握がうまくできず、行政の対応に課題を残したことがある。複数の避難所を利用するなど広範囲に移動する被災者もおり、混乱に拍車をかけた。支援物資の配布など被災者支援が円滑に進まない一因ともなっていた。

 こうした状況を改善し、効率的に避難所などの利用把握を進めるツールとして白羽の矢が立ったのがスイカだ。現在はまだ試験運用の段階だが、有効性が確認できれば輪島市や珠洲市など志賀町以外の自治体にも順次、広げていく方向だ。

 石川県の番匠啓介・デジタル推進課長は「スイカの登録は任意だが、避難所を訪れた人はおおむね登録してくれている」と話す。

マイナカードの活用検討も断念

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