半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の第1工場開所式が24日、熊本県菊陽町で開かれ、地元では波及効果を含め7兆円規模とも指摘される設備投資に期待が高まる。ただ、深刻な人手不足など解消すべき課題も多い。

トヨタやソニーのトップも
「日本の半導体政策は道半ばで、これからが本当の勝負だ。日本の半導体産業の復活と、それを起点にした産業全体の国際競争力の強化に向けて全力を尽くしていく」

斎藤健経済産業相は24日、TSMCの第1工場の開所式でこう述べ、年内予定の本格稼働が国内半導体産業の基盤強化につながると強調した。式典にはトヨタ自動車やデンソー、ソニーグループのトップも顔をそろえ、国内製造業の復活に向けTSMCにかける期待の大きさをうかがわせた。


半導体産業は巨額の設備投資が必要だ。TSMCの熊本での総投資額は200億ドル(約3兆円)超といわれ、九州では受注を目指す他の半導体関連メーカーも競って設備投資を行う。経済産業省九州経済産業局によるとTSMCの熊本進出に伴う九州企業の設備投資計画・立地協定(令和3年4月~5年12月末時点)は計74件、計2兆5500億円を超えるという。

今後は工場のメンテナンスなど幅広い関連産業の需要増で、中小企業への波及効果も期待される。同局幹部は「公表されていない計画も多く、実際の設備投資額は6兆~7兆円ぐらいに膨らむだろう」と鼻息が荒い。

活発な資金需要を見込み金融業界も動く。福岡銀行や肥後銀行(熊本)など九州・沖縄の地方銀行11行は1月、半導体産業の振興に向けた連携協定を締結。ライバル関係にある九州の地方銀行が異例のタッグを組み、旺盛な資金需要に応じる体制を整えた。福岡銀行の五島久頭取は記者会見で「九州全体の経済成長に貢献したい」と狙いを説明する。台湾企業の進出に合わせて台湾の金融機関の九州進出も目立つ。

時給水準1・5倍に
ただ、課題は人手不足だ。現在、TSMC第1工場だけで約1300人が勤務しており、第2工場も稼働すれば計3400人が働く。九州各地の半導体関連人材は今後10年間にわたり年間1000人ほど不足するとの予測もある。半導体産業の基盤強化を目指す地元産学官団体が関連人材の育成・確保を検討するが、「今も理系人材は奪い合い。この傾向はしばらく続く」(関係者)見通しだ。

熊本県内の人手不足は飲食店や清掃、コールセンターなど業種を問わず広がり、人材確保に必要な時給水準は1・5倍程度に上昇した。人材派遣企業も相次いで進出したが「派遣する人材の確保すら難しい」(担当者)状況だ。慢性的なホテル不足や交通渋滞、不動産価格の高騰もいまや〝熊本名物〟。工場が立地する熊本県菊陽町を中心に人口が流入し、町の姿は大きく変わりつつある。

(千田恒弥、黄金崎元)

産経新聞 2024/2/24 20:46
https://www.sankei.com/article/20240224-2JT4KFXHFJIMRNE4735ST54UKI/
★1 2024/02/24(土) 21:33:32.79
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