【パリ=板東和正】手厚い子育て支援策で高い出生率を保ってきたフランスが少子化の危機に直面している。出産の高齢化に加え、相次ぐ紛争や経済悪化を受けた将来への不安が重なったことが要因。マクロン仏大統領は少子化対策として育児休暇制度を見直す方針を表明したが、産まない選択肢を主張する声も高まる中、出生率が早期に回復するかは不透明だ。

仏国立統計経済研究所は1月、2023年の国内の出生数は67万8000人で22年から4万7000人以上減少したと発表。1982年以降で最低だった。

1人の女性が生涯に産む子供の平均的な人数「合計特殊出生率」(2023年)は1・68と22年から0・11ポイント減少し、第2次世界大戦後の最低水準だった。出生数から死亡数を引いた「自然増減数」(23年)は4万7000人で、10年前の13年に比べ20万人近く減った。

フランスはこれまで手厚い児童手当や税制優遇の効果を受け、出生率が減少傾向にある欧州の先進国の中で「少子化対策の優等生」(欧州メディア)とみられてきた。フランスの21年の合計特殊出生率は1・83とチェコに並んで欧州連合(EU)で最も高かった。

しかし近年は女性の社会進出に伴い高齢出産が増加。ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化により、地政学的リスクや景気の悪化が加速したことで、出産に消極的な考えを持つ女性が増えたとみられる。気候変動の影響も育児の上で不安要素になっているという。仏人口統計学者のディディエ・ブルトン氏は「戦争や経済危機、環境問題が重なり、カップルが出産の長期的な計画を立てることが困難になった」と分析した。

全文はソースで 最終更新:2/24(土) 18:59
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