英語にそこそこ自信があっても、独特のアクセントでやたらと早口にしゃべるインドの人と話したら「何も聞き取れない!」とパニックになった経験のある方は多いのではないでしょうか。

 しかし、いまや世界最大の人口を有するインドの存在感は世界規模で増しています。インドでの日系企業の拠点は増えていますし、来日インド人数もコロナ禍前の水準に近づきつつあります。日本人がインド人と英語で交渉し、関係を深める機会も増していくはずです。

 インドに赴任する日本人をプロットにして、インド英語の聞き取り能力を高める方法を伝授する「インド英語のリスニング」(研究社)を書いた榎木薗(えのきぞの)鉄也・中京大学元教授に、インド英語の特徴や、インドにおける英語教育などについて聞きました。

 ――書店で、インド英語の本やインド人が書いた英語学習書をよく見かけるようになりました。インド英語の需要が増しているようです。

 私の本を買ってくださった人の多くが、インドに赴任する会社員、あるいは、インド人を相手にビジネスをする人だと思います。本書は旧版を改訂して音声ダウンロードができるようにした新装版ですが、新旧合わせて8千部ほど出ています。

英語本の著者に聞く
朝日新聞社の発行する日本語解説つきの英字新聞「朝日ウイークリー」の連載から、人気のコラムを厳選して紹介します。今回は、インタビュー連載「英語本の著者に聞く」から。

 本書のようなアカデミックな本は通常、2千〜3千部も売れたらいい方ですから、おおまかに言って8千部からこの数字を引いた5千部前後はビジネス関連で売れたとみてもいいかもしれません。

 インドに進出している日系企業も多いのですが、米国のマイクロソフトやグーグルのCEO(サティア・ナデラ氏とスンダー・ピチャイ氏)のように米国でも企業の上層部にいるインド人が増えています。その方面の需要もあるのかもしれません。

 ――「インド英語を理解するポイントはリスニングにある」と書かれています。どのような特徴がありますか。

 スタンダードな英語には、強弱のリズムがあります。しかし、インドの在来の言語は英語のような強弱のリズムがいわば皆無です。その調子で英語を機関銃のような早口で話すので、慣れるまでは聞き取りづらいのです。

慣れれば問題なく聞き取れる
 また、Thank youの…(以下有料版で,残り1806文字)

朝日新聞 2024年2月25日 12時00分
https://www.asahi.com/articles/ASS2N5698S2NULPT001.html?ref=tw_asahi