京王線府中駅からバスに乗って10分ほど、府中刑務所と書かれたレンガ造りの門が見えてくる。晴見町の停留所で降り、案内に従い敷地内へと入る。刑務官ら職員が暮らす官舎を左手に見ながら歩くと右手に高さ5.5メートルの塀が現れる。刑務所の周囲1.8キロを囲っているという。バス通りに面した門から300メートルほど歩くと府中刑務所の正面入り口に到着した。

2月22日、日本記者クラブが主催する府中刑務所視察に参加した。これまで刑事施設に行ったのは大阪拘置所での林真須美死刑囚への面会取材や和歌山の女子刑務所にごく短時間行った経験はあるが、刑務所そのものを3時間あまり、広範囲に視察するのは初めてだ。名古屋刑務所での受刑者暴行事件などがあった中で、担当者から直接いまの刑務所の現状や課題を聞く貴重な機会となった。

●日本最大規模の府中刑務所…『居室の扉や窓などを破壊』『トイレの汚物ぶちまける』受刑者も

府中刑務所は古くは1790年(寛政2年)に設置された石川島人足寄場をルーツに持ち、1924年(大正13年)、前年に起きた関東大震災の影響で府中に移転、建設された。東京ドーム5~6個分の敷地に収容定員2668人を誇る日本最大規模の刑務所である。取材時の受刑者は1594人でこのうち外国人が346人を占める。
【中略】

●1500人中、約2割が「高齢受刑者」最高齢は94歳 刑務所で進む「高齢化」

さきに、いま府中刑務所に限らず刑務所が抱える課題として「高齢化」と「処遇改善」の問題があると指摘した。実に府中刑務所でも約2割、300人が高齢の受刑者で、日本人受刑者の最高は94歳だ。受刑者約1500人のうち約7割が精神疾患または身体疾患により医療上の配慮を要するという。

認知症や記憶障害で意思疎通が取りづらくなった人や体力的に作業ができなくなる人もいる。病棟とされる場所では刑務官とともに廊下を歩行器を使って歩いたり、タブレットを使って脳トレのプログラムに取り組む高齢の受刑者の姿を見た。また「機能向上作業」というものもある。第10工場訓練場という場所では3年前から認知機能や身体機能の維持向上をはかるという「作業」に取り組んでいる。作業療法士の方が付き添う様子はさながら介護施設のリハビリのようだ

続きは毎日放送 2024年3月2日(土) 13:43
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