能登半島地震では、直接的な被害が大きかった石川県だけではなく、北陸4県でも観光客の減少などの影響が出た。16日の北陸新幹線の延伸開業と被災地支援策「北陸応援割」で、沿線各地は首都圏などから観光客を呼び込み、少しでも回復につなげたい考えだ。一方、石川県では多くの宿泊施設で2次避難者を受け入れており、本業との両立が求められている。

 石川県内の新幹線沿線の温泉施設では、地震後に1〜3月分の宿泊予約の半分以上がキャンセル。新潟、富山、福井各県でも相次いだ。観光庁の担当者は応援割について「観光需要の落ち込みをどう挽回するかという局面。開業を契機に盛り上げていきたい」と話す。

 12日から応援割の予約が始まった石川県の宿泊施設からは、「当日で完売した」「例年より予約が多い」との声が上がる。加賀市山中温泉の旅館「胡蝶」の三谷修司社長は「新幹線を利用したインバウンド(訪日客)や首都圏からの来客が増えてくれれば」と期待する。

 一方で、同県では15日時点で、238施設に約4000人の2次避難者が身を寄せる。約200人が暮らす加賀市の「みやびの宿 加賀百万石」は、7月までの期限延長を表明。「どちらも大切なお客さま。喜んで受け入れたい」(担当者)として、従業員寮の空き部屋を避難者に解放するなど、両立に工夫を凝らす。

 約130人を受け入れるホテルアローレ(同市)の太田長夫社長は「自分たちのサービスを社会に役立てたい」と語り、期限を区切らない方針だ。

 太田社長は「これまで満室時も、特段混乱や支障はなかった。観光を盛り上げることで復興も進んでいくので、多くの人に来てもらいたい」と話している。

時事通信 2024年03月17日06時59分配信
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