迫害を恐れ日本で難民申請しているトルコ出身のクルド人を支援するクルド難民弁護団は18日、東京都内で会見し、「日本にいる多くのクルド人は真の難民であり、帰国できない窮状を理解して、隣人として受け入れていただきたい」と市民に共生を訴える異例の呼びかけをした。弁護団は呼びかけ文などを同日付で、在日クルド人が多く住む埼玉県の大野元裕知事や埼玉県川口市の奥ノ木信夫市長らに送付し、理解を訴える。
 弁護団は、在日クルド人がつくる「日本クルド文化協会」(同市)と協会幹部6人が昨年12月、トルコ政府から「テロ組織に属する」と認定されたことや、生活習慣の違いなどから一部で住民と摩擦が起きていることを憂慮した。
 トルコ政府の認定について、弁護団の大橋毅事務局長は「トルコ政府によるテロ対策名目の措置は、根拠のない人権侵害に当たると欧州人権裁判所の多数の判決によって認定されている」と指摘。協会は非合法武装組織クルド労働者党(PKK)との関係を否定しており、大橋事務局長はトルコ政府の認定自体が「協会関係者がトルコで迫害を受ける恐れのある難民だということを示している」と強調した。その上で「一部のクルド人が罪を犯したからといって、クルド人全体を排斥するのは差別にほかならない」と危惧した。
 トルコ出身のクルド人は欧米での難民認定は少なくないが、日本で認定されたのは2022年の1人だけ。(飯田克志)

東京新聞 2024年3月19日 07時49分
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