※2024/03/18 05:00
読売新聞

 ウクライナ南部のクリミア半島をロシアが2014年に一方的に併合してから、18日で10年となる。露政府はインフラ(社会基盤)建設や露本土からの移住で「ロシア化」を進めた。22年2月にはロシアによるウクライナの侵略が始まり、クリミアの元住民は「もう故郷には戻れない」と悲観している。

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ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアに掲示されたロシア大統領選の候補者情報が書かれた掲示板(8日)=ロイター
 「クリミア併合は序章にすぎなかった」。クリミア南西部セバストポリの出身でITエンジニアの男性(35)は滞在先のキーウで電話取材に応じ、こう振り返った。所用で訪れたキーウからクリミアに戻る途中で露軍の侵略が始まり、帰れなくなった。地元には妻や家族が残る。

 10年前、ロシア編入の是非を問う「住民投票」には行かなかった。武装した露軍兵士が監視し、反対票を投じられる状況ではなかった。「併合なんて実際に起きるわけがない」とも思っていたという。

 だが、併合後は国際的な承認がないまま、「ロシア化」が進んだ。通貨がロシアのルーブルに替わり、物価は2倍になった。米欧諸国の制裁で外国企業が撤退し、ロシアの銀行や企業が進出した。ウクライナメディアが遮断され、ロシアの身分証を取得しなければ、医療などの公的サービスを受けられなくなった。

 温暖な観光地のクリミアには、ロシア人の移住が進んだ。露政府は、ロシア国籍の取得を拒否したウクライナ人から没収した住宅を提供したり、住宅ローンや給与を優遇したりして移住を促進しているとされる。

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