春は入学や就職、転勤のシーズン。長年暮らした家を離れる人も少なくないだろう。賃貸住宅を退去する際、あまりに高額な修繕費用を求められたら要注意だ。「賃貸住宅の原状回復トラブル」に関する相談は今年度だけですでに公的窓口に1万件以上寄せられている。勘違いしやすいケースを把握しておこう。

■壁紙13万円に「えっ」

東京都中野区の女性会社員(39)は昨年、賃貸マンションを退去し、家族で引っ越した。マンションの貸主(大家)に立ち退くことを伝えると、修繕費用の見積もりが送られてきたが、計上額は約37万円。2DK(約55平方メートル)すべての壁紙の貼り替え費用約13万円も含まれていた。

暮らしたのは約12年。女性の前には7年ほど別の住人が暮らしていた。寝室の壁には子供が落書きをし、女性がそれを拭きとった跡は一部にあったが、経年変化によるとみられる色落ちもあった。「すべての部屋の壁紙の貼り替え費用も見積もりに含まれたことに納得できず、おかしいと思った」という女性は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で確認した。

すると日照などによる壁の変色は経年変化として、借り主(入居者)が原状回復の義務を負うことはないほうに分類されていた。一方、落書きなどの故意による毀損(きそん)は借り主が原状回復費用を負担するほうに分類されていた。

女性は、このガイドラインの内容と見積もりへの疑問を記したメールを貸主側に送付。結果、壁紙の費用負担は約13万円から約7000円に減額されたという。

■相談件数は1万件以上

「入居時から傷ついていた床などの原状回復も求められた」「玄関の壁紙のわずかな傷で全面の貼り替え費用を請求された」-。

続きはYahooニュース 産経新聞 2024/03/23 10:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/9ba60fd87da7ab803f714f4cbd1a06e78b97e3a4