【ワシントン=渡辺浩生】11月の米大統領選へ無所属で出馬したロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)は26日に副大統領候補を発表する。本腰を入れるケネディ氏に警戒を強めるのは民主党バイデン大統領(81)陣営だ。共和党指名を確実にしたトランプ前大統領(77)との本選を左右する無党派層や民主党穏健派を奪われかねないとの危機感がある。

ケネディ元大統領を叔父に持つ著名ファミリーの一員。父のロバート・ケネディ元司法長官は1968年の大統領選に名乗りを上げたが、民主党指名争い最中の6月、遊説先のロサンゼルスで暗殺された。

環境保護や反ワクチン活動に携わった弁護士のケネディ氏は米紙ニューヨーク・タイムズに対し、2人の死を「戦争に行くのと同じように政治にはリスクがある」と受け止めたと述べ「父の後を継ぐプレッシャーを感じた」と回想した。

巨大産業界や公権力から「中間層の利益を守る」を信条とするケネディ氏は当初、民主党の指名争いに名乗りをあげたが昨年10月、無所属出馬を表明。世論調査で10%前後とトランプ氏やバイデン氏に続く支持率を維持する。FOXニュースの調査では13%にのぼった。

26日に西部カリフォルニア州オークランドで集会を開き、副大統領候補を発表する。米メディアによると、米プロフットボールNFLのスター選手アーロン・ロジャーズ氏や元プロレスラーで元ミネソタ州知事のジェシー・ベンチュラ氏らの指名を検討している。

ケネディ氏の課題は無所属や第3党に不利な選挙制度にある。候補者名が投票用紙に記載されるには州で異なる複雑な手続きを完了する必要がある。有権者の署名を義務付ける州も多い。陣営によると西部ユタ州で登録が完了。東部ニューハンプシャー、西部ネバダ州で必要な署名を集めた。今後も南部テキサス州などで請願を広げていく。

超党派政治集団「ノーレーベルズ」の候補探しが難航し、バイデン陣営はケネディ氏をトランプ氏に勝利を譲りかねない「スポイラー(壊し屋)」の本命とみなしつつある。米紙によると、勝敗を左右する7つの激戦州で無党派層や穏健派の票が流れることを警戒、州の候補者登録を阻止する「法的攻勢」に着手する。

ケネディ氏もバイデン・トランプ再対決に不満を抱く層を念頭に既存政党批判に力を入れるとみられる。

3/22(金) 9:52配信
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