2024年4月2日 17時00分

 同性婚を認めない民法や戸籍法の規定が憲法違反だとして、全国の同性カップルらが国を訴えた裁判で、3月14日の札幌高裁判決(斎藤清文裁判長)は「憲法24条1項に違反する」との初判断を示し、「同性間の婚姻も異性間と同じ程度に保障している」と踏み込んだ。憲法学者はこの判決をどう受け止めたのか。ポイントや意義を、憲法を専門とする慶応大法学部の駒村圭吾教授(63)に聞いた。(奥野斐)

(略)

◆「標準世帯」のみでは日本は弱体化

 家族の問題は時間がない。長年、連れ添ったパートナーがいつ事故で入院するか分からないし、パートナーと安心して楽しめる時期はだんだんと減っていく。

 私自身は、1960~70年代のいわゆる標準世帯で育った人間だ。標準世帯への郷愁を深くする一人だが、古い家族の肖像だけ眺めていても昔に戻ることはない。日本全体の社会の活性化を考えても、もはや現状維持は合理性がなく、傍観していることはさらなる日本社会の弱体化につながる。同性婚が実現しても、誰も困る人はいないだろう。異性愛者はこれまで通り結婚できるし、同性愛者もできる。皆がハッピーになるだけだ。

 駒村圭吾(こまむら・けいご) 1960年、東京生まれ。慶応義塾大法学部卒業。専門は憲法、言論法。著書に「憲法訴訟の現代的転回」(日本評論社)、「ジャーナリズムの法理」(嵯峨野書院)、「権力分立の諸相」(南窓社)、「主権者を疑う」(筑摩書房)など。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/318823