来年春に大学や大学院を卒業する学生に対する企業の求人倍率は1.78倍と、6年連続で上昇したという民間の調査がまとまりました。特に、人手不足が続く流通業と建設業は、これまでで最も高い倍率となっています。

情報サービス大手のリクルートホールディングスは、毎年2月から3月にかけて、従業員5人以上の企業およそ7000社を対象に採用予定数などの調査を行っていて、今回は、全体の62%に当たる4509社から回答がありました。
それによりますと、来年春に大学や大学院を卒業する学生に対する求人倍率は1.78倍で、前の年の調査を0.04ポイント上回り、6年連続の上昇となりました。

業種別で見ますと、最も倍率が高かったのは人手不足が続く流通業で11.32倍、次いで建設業が9.41倍となっていて、いずれも、これまでで最も高くなりました。このほか、製造業が2.04倍、金融業が0.19倍などとなっています。
来年春に卒業する大学生や大学院生の就職活動は6月から面接が解禁されますが、ことしは建設や流通業界で、学生に優位な売手市場となる傾向が一層、強まりそうです。

調査を担当したリクルートワークス研究所の戸田淳仁主任アナリストは「流通業や建設業は、働き方や労働時間といった点で学生から厳しいというイメージを持たれており、
ほかの業種と比べて就職を希望する学生が少ないことも、求人倍率が高くなった背景にあるのではないか」とと話しています。

<小規模企業ほど人手不足が深刻>

今回、発表された求人倍率を見ますと、規模が小さい企業ほど人手不足が一段と深刻化していて、業種別では、流通業と建設業で、学生が有利な「売手市場」の傾向が強まっています。

まず、企業の規模別に見ますと、従業員が1000人未満の企業は3.43倍で、前回、1年前の調査の2.49倍から大幅に上昇しています。
一方、従業員が1000人以上の企業は0.71倍と、前回の0.9倍から低下していて、企業の規模によって二極化していることがうかがえます。

業種別に見ますと、求人倍率が最も高いのは、流通業の11.32倍で、1年前の6.98倍から大きく跳ね上がっています。
次いで、建設業が9.41倍と、1年前の6.25倍から大幅に増加していて、この2つの業種で、売手市場の色合いが一段と強まっています。

このほか、製造業は1年前の1.93倍から今回は2.04倍に、サービス・情報業は0.49倍から今回は0.44倍に、金融業は1年前と同じ0.19倍となっています。

配信 4月26日 14時47分

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