2000年に赤ちゃんポストが開設されたドイツでは、出自を知る子どもの権利が保障されないことが問題視され、赤ちゃんポストに代わる制度が創設された。
国内では、こうのとりのゆりかごが10年を過ぎても、第2の赤ちゃんポストは誕生していない。

ドイツ北部ハンブルクの住宅街。
子どもたちの声が響く幼稚園の門に「ベビークラッペ」という看板が掲げられていた。
レンガの外壁に扉が取り付けられ、その奥に小さなベッドがあった。
いわゆる「赤ちゃんポスト」だ。

■写真
ハンブルクの幼稚園に設置された「ベビークラッペ」
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ハンブルクの幼稚園に設置された「ベビークラッペ」について説明するシュネル園長
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監視カメラが24時間作動しており、子どもがベッドに置かれると、警備室から連絡を受けた職員2人が夜間でも10分以内に駆けつける。
コーデリア・シュネル園長(42)は「へその緒がついたままの新生児が置かれたこともある。
緊急処置の訓練を受けた職員が子どもを保護する」と説明した。

運営するのは、幼稚園や福祉施設を営む民間企業。
路上などに遺棄されて命を落とす子どもを減らそうと、2000年にドイツ国内で初めて開設した。

この企業は歓楽街に近い幼稚園などにも設けており、4月下旬までに計3か所で51人を受け入れた。
預けられると、8週間以内であれば親が引き取れることを新聞で告知するが、それを過ぎると、子どもは養子に出される。

■廃止勧告、新たな制度導入

柏木恭典・千葉経済大短期大学部准教授(教育学)によると、ドイツでは00年以降、各地の病院や教会などが赤ちゃんポストを設け、約100か所に上った。
こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)を運営する慈恵病院(熊本市)の蓮田太二理事長(81)も、ゆりかごの開設前に視察してモデルにした。
赤ちゃんポストは、スイスやオーストリア、中国、韓国などにも広がっていった。

ただ、ドイツでは09年、政府の諮問機関である倫理審議会が、出自を知る子の権利を守ることなどを理由に、匿名で託せる赤ちゃんポストの廃止を勧告した。
代わりに進められているのが「内密出産制度」だ。
母親は、公的な承認を受けた妊娠相談所にだけ実名を明かし、医療機関では仮名で子を産む。

生みの親が引き取れない場合、子は育ての親と養子縁組をし、16歳になると、政府に生みの親の身元を照会することができる。
14年に関連法が施行され、300人以上がこの制度で出産したという。
柏木准教授は「内密出産を選ぶ人もいるが、宗教上の理由などで未婚での妊娠が認められず、赤ちゃんポストに頼らざるを得ないケースは残るだろう」と語る。

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