新たな財政健全化目標設定へ 政府が検討に入る
5月21日 4時40分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170521/k10010989401000.html

政府は、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化するとした財政健全化目標を見直し、GDP=国内総生産に対する債務残高の割合に着目した、新たな目標を掲げる方向で検討に入りました。政府は当面、今の目標を堅持しつつ、来年度までに新たな目標を打ち出す方向で調整を進めるものと見られます。
政府は、社会保障や公共事業などの施策を進めるのに必要な経費を、税収などでどれだけ賄えているかを示す、国と地方を合わせた基礎的財政収支を2020年度までに黒字化させることを財政健全化の目標に掲げています。

しかし、内閣府の試算では今後、名目で3%程度の高い経済成長が続いた場合でも2020年度、8兆3000億円程度の赤字が見込まれ、政府内からも「目標の達成は困難だ」という見方が出ています。

一方、安倍総理大臣は少子高齢化が進む中で経済成長を持続するには生産性の向上が不可欠だとして、来月をめどに策定する経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」に、人材への投資に向けた具体的な施策を盛り込む考えを示しているほか、高等教育の無償化なども推し進めたい考えです。

こうした中、政府は今の財政健全化目標を見直し、GDP=国内総生産に対する債務残高の割合が、どれだけの大きさになるかを見る指標に着目して、新たな目標を掲げる方向で検討に入りました。

ただ、政府は、この指標は債務残高が増えても、GDPが高い成長を続ければ改善するため、財政再建の取り組みを後退させるという指摘が出ることも予想されるとしていて、当面は今の目標を堅持しつつ、来年度までに新たな目標を打ち出す方向で調整を進めるものと見られます。