博多金塊盗難 窃盗容疑で十数人逮捕へ 売却時偽装工作か
毎日新聞2017年5月22日 09時47分(最終更新 5月22日 09時47分)
https://mainichi.jp/articles/20170522/k00/00e/040/191000c

 福岡市博多区で昨年夏に約6億円相当の金塊が盗まれた事件で、福岡県警は近く、実行行為に関わった10人前後を窃盗容疑で逮捕する方針を固めた。金塊の一部は事件後、東京都内で貴金属店を営む法人の名義で売却されており、盗品と知りながら名義貸しした疑いがあるとして、貴金属店関係者数人も盗品等処分あっせん容疑で逮捕する方針。県警は、事前に金塊の取引情報を得たうえで、売却時の偽装を工作するなど入念に計画を練った組織的事件とみて全容解明を目指す。

 事件は昨年7月、JR博多駅筑紫口付近の路上で発生。被害者の男性らが近くの貴金属店に売却する金塊約160キロをケースに入れて運んでいたところ、警察官のような制服を着た複数の男に「警察だ」「密輸品ではないか」と声をかけられた。男らはケースを調べるふりをし、男性らが目を離したすきに車に積み込んで逃走した。

 その後の捜査で、実行グループが逃走に使ったのはレンタカーで、事件があった同じ日に広島県内で返却していたことが判明。警察官風の制服は山口県内で押収された。県警は防犯カメラの映像や押収品などから、愛知県の男らが車や道具の準備、逃走経路の確保など事件の計画・実行に関わったと判断したとみられる。

 捜査関係者によると、被害者は事件の前日に山口県内で金塊を購入しており、県警の調べに「転売目的で貴金属店に運んでいる最中だった」と説明。金塊の一部は事件後1週間以内に、東京都内の買い取り業者に4億円以上で売却された。売却時には、都内で貴金属店を営む法人名義が使われていた。

 個人が200万円以上の金を売却した場合、所得税法に基づいて買い取った業者が売り主の個人情報を確認し、税務署に届け出ることになっているが、法人間の取引の場合は届け出が不要となる。県警は換金のために法人間の取引を装った疑いが強まったとして、名義貸しした貴金属店関係者数人についても逮捕して事情を聴く方針だ。【宮崎隆】