政府は23日、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)を開き、社会保障改革を議論した。民間議員は、費用対効果をもとに、
医薬品の価格を決める新組織の設立や、かかりつけ医以外をランダムに受診した場合の定額負担の導入を提言した。

代替のない高額医薬品ほど自己負担を減らす仕組みの検討も求めた。受診や薬の利用にメリハリをつけて医療費を抑える。

塩崎恭久厚生労働相は、薬価の抑制につながる後発医薬品の普及率を、現在の60%台半ばから2020年9月までに80%に引き上げる方針を表明した。
従来は「18年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上にする」としていたが、時期を明確にした。

民間議員はかかりつけ医の普及に向けて、まず大きな病院を紹介状を持たずに受診した時の定額負担の対象拡大を検討すべきだとした。
その上で、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入につなげたい考えだ。日本では外来受診時の負担が軽いことが医療費膨張につながっている。

薬価の算定方法も見直す。民間議員は、費用対効果をふまえて薬価を算定する日本版「医療技術評価機構」の設置を提言した。
新たな組織は、生存年数や生活の質のほか、再発率の高さなども総合的に勘案して薬の値段を決めることを目指す。

フランスを例にして、薬の種類によって自己負担割合を変えることも提言した。
薬の種類で負担割合が変わらないことが、過剰投与につながっているとして、使用や開発にメリハリをつける。

23日の諮問会議では、6月に閣議決定する経済財政運営の基本方針「骨太の方針」の骨子案も示した。
働き方改革と人材投資を軸に、成長と分配の好循環を目指す。消費の活性化や経済・財政一体改革の推進を盛り込んだ。

配信 2017/5/24 1:00
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO16770710U7A520C1PP8000/