子どもの国語辞典が様変わりしている。フルカラーや、幼児向けも登場。小学校低学年から授業で辞書が使われるようになり、手にとる年齢が下がっているためだ。「楽しく使える辞書」をめざし、各社が工夫をこらしている。

 子ども向けの辞書売り場にはカラフルな国語辞典が並ぶ。

 「初のオールカラー」をうたうのは、2015年に発売された学研プラスの「新レインボー小学国語辞典」。小学生向けは黒と赤の2色刷りという「常識」を初めて破った。表紙がピンク色のミッキー&ミニー版もあり、発売後1年間の売り上げは前の版の4倍以上になった。

 編集者の森川聡顕(としあき)さん(48)は「歴史の中で辞書は完成したものと思っていたが、時代に応じた工夫ができるとわかった」と手応えを感じている。

 ベネッセコーポレーションも今年3月に「チャレンジ小学国語辞典」のフルカラー版を刊行。カラー映えする動植物の写真や国旗の図版も入れた。2色刷りも残しているが、最近1カ月ほどの売れ行きはフルカラー版の方がやや多い。

 国語辞典は、教科書に使い方が出てくる小学3年生で習うことを前提につくられていた。だが、06年に小学校の教頭だった深谷(ふかや)圭助・中部大教授が、小学1年生から手元に辞書を置き、調べた言葉にふせんを貼っていく「辞書引き学習法」を著書で紹介。これが全国に広がり、使い始める年齢が下がった。

 読者層の低年齢化を受け、三省堂の「例解小学国語辞典」は15年の改訂で語釈を変更。「やつす」の説明の一つは「みすぼらしく身なりを変える」から、「目立たないように身なりを変える」に表現をやさしくした。

 各社もしのぎを削り、すべての漢字にふりがなをつけたり、持ちやすいように紙を軽量化したり……。あいうえお順がおぼつかない子のために全ページの端に五十音を示した辞書や、ページ上端の余白を広げてふせんを貼りやすくするといった工夫もウリにしている。

 ベネッセの編集者、佐々木佳世…

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2017年5月24日10時5分 朝日新聞
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