毎日新聞 6/5(月) 9:56配信

約半世紀にわたって親しまれてきたスナック菓子「カール」が、突然売れ始めた。
メーカーの明治(東京)が5月25日、販売不振を理由に東日本での販売を今夏以降で終了し、西日本でも種類を大幅に減らすと発表したところ、スーパーなどで売り切れが続出。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上には「カールが買えない」という書き込みがあふれている。

福岡市東区にあるディスカウントストア「ミスターマックス吉塚店」の菓子売り場は5月31日、カールが置かれていた棚がぽっかりと空いていた。明治の発表3日後の28日に売り切れたという。
女性従業員は「今朝もお客様から入荷の予定はないのかと聞かれたが、いつだとは答えられない」と話す。
ミスターマックス(福岡市)によると、同社全体では26日以降のカールの売り上げがそれまでの約2倍に伸びた。

カールが誕生したのは1968年。独特の食感に加えて「それにつけてもおやつはカール♪」のテレビCMで幅広い世代に愛されたが、近年は販売不振が続いていた。
明治によると、売り上げは190億円程度あった90年代の3分の1まで落ち込んだという。

このため明治は、7品目のうち「カレーあじ」など5品目は8月の生産分がなくなり次第、販売を終了すると決定。
全国5カ所の生産拠点のうち松山市の工場だけを残し、主力の「チーズあじ」と「うすあじ」の生産は続けるが、販売エリアは西日本に限定する。
東日本と西日本で売り上げはほとんど変わらないが、物流コストなどを検討して判断した。

発表から間もなく、ツイッターなどではカールの姿が消えた商品棚の様子を撮った写真が全国各地から投稿されるようになった。
インターネット上のオークションでは品薄を見込んでか、通常の小売価格より高い値段を付けてカールを出品するケースも見られる。

福岡市博多区のあるスーパーはカールの「チーズあじ」と「うすあじ」をレジ横に山積みにし、「まもなく西日本限定販売になります」と値札に書いた。
2種類を1袋ずつ購入した同市早良区の看護師、河野(かわの)和子さん(62)は
「普段は食べると歯にくっつきやすいし、年に数回も買わない。九州では販売が縮小されても買えるのは分かっていたが、話題になっていたので手に取った」と語った。

ファンの熱い応援を受け、明治が販売縮小を撤回する可能性はないのか。
広報担当者は「惜しむ声が上がっていることはありがたく受け止めているが決定したことなので、売り上げが伸びても方針を変更する予定はない」と話す。【遠山和宏】

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