(妨害行為への対応のための関係行政機関の情報共有)
第十三条
農林水産大臣、内閣総理大臣、法務大臣、外務大臣、海上保安庁長官その他の関係行政機関の長は、鯨類科学調査ごとに、
鯨類科学調査に係る船舶の乗組員(前条の規定により派遣される政府職員及び同条の規定により派遣される船舶に乗り組む政府職員を含む。次項において同じ。)
その他の関係者が妨害行為に対応してとることができる措置の具体的内容について、あらかじめ情報を共有することにより、相互の緊密な連携を確保するものとする。
2 前項の情報の共有は、想定される妨害行為の類型ごとに、我が国が締結した条約その他の国際約束及び確立された国際法規並びに法令に照らし、
鯨類科学調査に係る船舶の乗組員その他の関係者が妨害行為に対応してとることができる措置について、鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施する観点からできる限り具体的に行われるものとする。

(妨害行為への対応等のためのその他の措置)
第十四条
政府は、外国船舶による妨害行為の防止又は外国船舶による妨害行為への対応のため、外交上適切な措置を講ずるものとする。
2 政府は、妨害行為の発生の防止のため、妨害行為を行うおそれがある外国人について、上陸の拒否その他の入国、
上陸及び在留の管理に関する必要な措置をとるものとする。

(鯨類科学調査により得られた科学的知見の国内外における普及及び活用等)
第十五条
政府は、鯨類科学調査により得られた科学的知見の国内外における普及及び活用に努めるとともに、
鯨類科学調査の意義に関する国内外における理解を深めるために必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、鯨類に係る伝統的な食文化その他の文化及び食習慣の継承並びに鯨類の利用に関する多様性の確保に関する国内外の理解と関心を深めるため、
鯨類に関する文化及び食習慣並びに鯨類の利用についての広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。
3 政府は、捕鯨を取り巻く国際環境の改善を図るため、関係国との連携及び関係国への働きかけの強化その他必要な外交上の措置を講ずるものとする。

(鯨類科学調査のために捕獲した鯨類の調査終了後における利用)
第十六条
政府は、鯨類科学調査のために捕獲した鯨類のうち必要な調査を終了したものについては、可能な限り加工すること等により有効に利用され、
かつ、当該利用が合理的に行われるよう必要な措置を講ずるものとする。
2 前項の措置は、我が国の鯨類に係る伝統的な食文化その他の文化及び食習慣並びに鯨類の利用に関する多様性についての国民の理解と関心が深まるよう、
学校給食等における利用が促進されることを優先して講ずるものとする。
3 政府は、鯨類科学調査のために捕獲した鯨類の加工、販売等を行う事業者その他の関係者に対しその事業等を妨害されることについての不安を生じさせることがないよう必要な措置を講ずるものとする。

(財政上の措置等)
第十七条
政府は、第九条に定めるもののほか、鯨類科学調査の実施体制の整備、妨害行為への対応、鯨類科学調査により得られた科学的知見の国内外における
普及及び活用その他鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施するための施策の実施のため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(鯨類科学調査以外の鯨類に関する科学的な調査についての措置)
第十八条
政府は、鯨類科学調査以外の鯨類に関する科学的な調査(鯨類を適切な水準に維持しながら持続的に利用するために必要な科学的情報を収集することを
目的として行うものに限る。)について、当該調査の目的及び実施の状況を踏まえ必要があると認めるときは、第十一条から第十四条まで及び前条に規定る措置に準じて必要な措置を講ずるものとする。