雨が少ないために山梨県の河口湖の水位が下がり、通常は水面下にある泥地が露出している。

 この泥地に入り込んだ釣り人が足を取られて動けなくなる事故が相次いでいるため、富士河口湖町は看板を設置して注意を呼びかけている。

 富士河口湖町によると、河口湖は現在、平年より2〜3メートルほど水位が低い状態だ。甲府地方気象台の観測では、河口湖の6月1日〜20日の降水量は9ミリで、平年(89・3ミリ)の1割程度しかないことが原因とみられる。

 水位が下がっているために、河口湖中心部の北岸にある大石公園付近と、西側の長浜地区では、湖底の遠浅の泥地が露出している。泥地には水が湧いているため、乾燥せずに水田のような状態が保たれている。

 6月24、25日には、この泥地に入り込んで動けなくなった釣り人が、消防に救助を求める事故が3件発生した。

 富士五湖消防本部河口湖消防署によると、25日午前9時35分頃には、大石公園近くの泥地で釣りをしていた男性(32)から119番があった。消防署員が駆けつけ、腰の辺りまで泥に埋まって動けなくなっている男性を発見。消防署員は、泥地に埋まらないように板を敷きながら近づき、泥をかき分けて男性を引き出して救助した。

 この現場付近では24日にも、釣りをしていて足が埋まった男性(35)から119番があり、股下まで埋まった男性が消防署員に救助されている。

 長浜地区の泥地では25日、釣りをしていて動けなくなった男性が友人を通じて119番した。消防署員が到着すると、男性は自力で脱出していたという。

 富士河口湖町の担当者は「水位が下がり、普段は入れない場所が現れているので、つい立ち入ってしまうのかもしれない」と推測する。

 泥地に入り込んで動けなくなる事故が相次いだため、富士河口湖町は25日、泥地の近くに、足が沈み込む恐れがあるために泥地に近付かないように呼びかける看板を設置した。また、河口湖近くの公衆トイレに貼り紙をしたり、ホームページで注意を呼びかけたりしている。

 富士河口湖町の担当者は「このような注意を呼びかけるのは初めてだ。今年は特に水位が下がっているため、水に近づいて釣りをしようと泥地に入るのかもしれないが、危険なので絶対に入らないでほしい」と呼びかけている。(百瀬翔一郎)

釣り人2人が救助された泥地(6月28日、富士河口湖町の大石公園近くで)
http://sp.yomiuri.co.jp/national/20170704-OYT1T50003.html?from=ytop_photo
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