広島と長崎に投下された原爆による被爆者が医療費の支援などを受けるのに必要な被爆者健康手帳の申請が昨年度までの5年間に全国で2400件以上あった一方、却下されたケースが1400件近くあったことがNHKの調査でわかりました。調査からは被爆したことを証明することが年月を経て難しくなっている状況がうかがえました。

被爆者健康手帳についてNHKは広島市と長崎市、それに全国の都道府県を対象に昨年度までの5年間にどれだけ申請があったのか、アンケート調査をしました。

それによりますと新たな申請は2446件、申請が認められたのは1208件でした。

一方、同じ5年間に却下されたケースが1393件あったほか、申請をした人が審査結果が出る前に死亡したケースが33件ありました。

手帳の取得には被爆した時の場所やその状況などを証明しなければなりませんが、自治体へのアンケートからは年月を経て申請者の記憶があいまいになっていたり、証拠や証人を探すことが難しくなっていたりするといった意見が多く寄せられていました。

広島県被団協の佐藤奈保子事務局次長は「今も申請が続く背景にはこれまで被爆について公にできなかった人が長い時間が経て被爆したことを証明したいという思いにいたったことがあると感じる。行政はじっくり話を聞いて認定につながる証言を引き出す努力をしてほしい」と話しています。


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170802/k10011083871000.html
8月2日 4時32分