ラジオとカセットプレーヤーが一体となったいわゆる「ラジカセ」の展示会が東京のデパートで始まり、ラジカセをかつて使っていた中高年だけでなく、アナログの音やデザインに魅力を感じるという若い世代の人たちも会場を訪れていました。
この展示会はラジカセの販売が国内で始まってからことしで50年目にあたるということにちなんで、東京・渋谷区にあるデパートが開いています。会場には50年近く前の昭和43年に発売された国内で初めてとされる、かつてのアイワ製のラジカセなど、平成5年までに販売されたおよそ100台が展示されています。

このうち、昭和54年からかつての三洋電機が発売した製品のシリーズは、小型で鮮やかな赤などの色で、それまで大型で黒やシルバーの製品が主流だった中、女性など幅広い層に親しまれるきっかけになったということです。

このほか、ラジカセにさまざまな機能が加わった製品も展示され、テレビが付いて「ラテカセ」と呼ばれた製品や演奏用のキーボードがある製品なども展示されています。会場にはラジカセで音楽が聴けるコーナーも設けられ、かつての音を懐かしむ中高年だけでなく、ラジカセのアナログ独特の音やデザインに魅力を感じるという若い世代も聞き入っていました。

このうち、滋賀県から来たという22歳の女性は「ラジカセは祖母の家にあって触った記憶があるぐらいだが、アートとして興味がある。レトロでポップなデザインもあってとてもかわいいし、音もCDと比べると暖かみのある音だと思います」と話していました。

また、埼玉県の56歳の男性は「昔、ラジオを録音して友達と貸し借りしていた記憶がよみがえってきてとても懐かしい」と話していました。

この展示会は、西武渋谷店で今月14日まで開かれています。
監修の家電収集家「デジタルとアナログが共存を」
この展示会は、東京に住む家電収集家の松崎順一さん(56)が監修しました。幼いころから家電が好きだったという松崎さんは14年前、リサイクルショップでラジカセを見て、そのデザインや音の魅力を再認識して、収集を始めたということです。

今では1970年代から80年代に販売されたものを中心に、およそ5000台を所有していると言います。松崎さんは、「当時のラジカセは斬新なデザインで、今見ると非常にユニークですごくおもしろい。デジタルに比べれば、よい音ではないが柔らかくて味わい深い。ずっと聴いていても耳が疲れないし、癒やされる」と話しています。

松崎さんは、ラジカセの魅力を多くの人に知ってほしいと、中古のラジカセを修理して、ネットなどを通じて販売もしています。購入する人は、以前は50代の男性が中心でしたが、最近は20代や30代の若い人たちが、デザインや音の魅力にひかれて購入するケースが増えているということです。

松崎さんは「今のオーディオの世界はデジタル一辺倒だが、いろんな音を選択できたほうがよいと思う。デジタルとアナログが共存できるように、若い人も両方を使い分けてもらえればいいと思います」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170802/k10011084681000.html