http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-40800283

みんなタイカレーや日本の麺、インドのスナックが大好きだ。なら、アジアテイストのデザートはどうだろうか。世界中でアイスクリームの販売量が減るなか、メーカーたちは消費者が食指を動かすようなエキゾチックなフレーバーを試みている。

さかのぼって1944年後半、米海兵隊第122飛行隊のハンター・ラインバーグ少佐は無性にアイスクリームが食べたくなった。無理もない。配置された場所はうだるように暑く、ジャングルで覆われた南太平洋にあるパラオのペリリュー島だった。

そこでラインバーグ少佐は機知に富んだ航空機整備士たちを集め、「フリーズ作戦」を決行した。

何度か試行錯誤を重ねた。戦闘機のそれぞれの翼の底面にミルクが入った大きな容器を搭載し、かくはん装置と風を受けて回るプロペラとをつなげた。そして3万フィート上空で訓練飛行をすると、日本軍がその戦闘機を撃墜しようと砲弾を消費するなか、毎日100人の兵士に振る舞えるアイスクリームが作れることが分かった。

しかしラインバーグ少佐はここで、ある好機を逃している。
軍から支給されたココアパウダーで味付けする代わりに、南太平洋の恵みに目を付けていれば、時代の最先端を走っていたかもしれない。ライチやココナッツ、カルダモン、ナツメグ、あるいはショウガを試してみればよかった。今アイスクリームメーカーたちは、このようなフレーバーを探求している。

ラインバーグ少佐がアイスクリームへの情熱を満たすために相当の努力を重ねてから70年。グローバルブランドが地球上ほぼすべてにアイスクリームを広めた。今ならばペリリュー島でも最寄りの店で手に入るだろう。

しかし長年、このメーカーたちが提供してきたブランドはチョコレートやイチゴ、バニラに留まるなど、あまりにも保守的だった。

今では移民や遠く離れた場所への観光、インターネットのおかげで、消費者はより冒険的になっており、メーカーたちはそこに目を付けている。

米国のアイスクリーム店では今や、ナッツやハチミツがかけられたペルシャ風のサフラン、オレンジの花、ローズウォーター味や、インド風のマサラチャイ、パイナップル味、クルフィなどのアイスクリームを提供している。

ニューヨークのチャイナタウン・アイスクリームファクトリーは40年にわたってエキゾチックなフレーバーを売ってきた。最近は客の関心が高まっていると感じている。

オーナーのクリスティーナ・サイドさんは、中国風のアイスを試そうと、しばしば20人ぐらいの客が列をなしているという。あずきや煎りゴマ、タロイモ(サツマイモの一種)味などを提供している。

この店を立ち上げた両親は、中国からの移民だ。クリスティーナさんは、その時よりも米国人がこのような味を受け入れる準備ができていると考えている。

「父は多くの味の先駆者でした。当時はみんな、マンゴーや抹茶が何なのか分かっていませんでした。でも今は、もはや本当に変なものなどありません」

クリスティーナさんは、中国で定番のあずき味がいずれ米国でも主流になると予想している。
(リンク先に続きあり)

ルーシー・フーカー・ビジネス担当記者、BBCニュース
(英語記事 Are the days of the 99 ice cream cone numbered?)