三重県四日市市中心部の街路樹をねぐらにするムクドリの騒音やフン対策のため、市は今月から、天敵のタカを放って市街地から追い払う「放鷹ほうよう作戦」を始めた。
市によると、タカを使ったムクドリの駆除は県内の市町で初めてという。10月末にかけて30回ほど実施する予定で、市は「うまく山間部に追い払うことができれば」と期待している。

2日午後6時過ぎ、近鉄四日市駅前中央通りのクスノキ並木。害鳥駆除会社「グリーンフィールド」(大阪市)の鷹匠たかじょう・江頭千景さん(20)の左腕からタカが飛び立つと、木の枝で休んでいたムクドリがけたたましく騒ぎながら一斉に逃げていった。

市の市街地整備・公園課によると、市内では10年ほど前からムクドリの群れが目立つようになり、2、3年前から市街地に居着くようになった。
近鉄四日市駅前周辺の街路樹には、夕方になると数千羽が集まり、市民から「鳴き声がうるさい」などの苦情が寄せられているという。

このため、市は今年度、全国で害鳥駆除の実績があるグリーンフィールドに依頼。同駅から市役所近くまでのクスノキ並木約500メートルの区間で週に2、3回、放鷹作戦を行う。
事業費は約250万円。ムクドリがねぐらを移さないよう、周辺の緑地でも実施する考えだ。

2日は、ムクドリが駅前に集まり始めた夕刻から放鷹を開始。鷹匠の江頭さんと佐藤稔さん(48)が並木道を進みながら、タカを放っては呼び戻す作業を小刻みに繰り返し、ムクドリを追い出した。

作戦を見守った同社の伊駒啓介・代表取締役は「ムクドリの群れの反応は良い感じだ。これなら、山間部にうまく追い払うことができると思う」と話す。
市は「ムクドリが市街地にタカがいると学習し、本来のすみかである山へ戻るよう来年度以降も継続したい」としている。

タカを使ったムクドリ駆除は全国各地で行われている。
昨年8月から実施している大分市の担当者によると、初回の放鷹で姿を消したムクドリの多くが約3か月後に戻ってきたため、今年に入ってから2回、タカを放ったところ、群れの数が減っているのが確認できたという。(田坂誠)

◆ムクドリ=スズメ目ムクドリ科。全長24センチ程度。体は茶褐色でくちばしと足はダイダイ色。群れで生活する。日中は、田畑などで餌を取り、夕方にねぐらへ戻る。全国的に、市街地への集中による騒音やフン害が問題になっている。

タカの姿におびえて逃げ出したムクドリの大群(2日、四日市市で)
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タカを放つ準備をする鷹匠の江頭さん
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配信 2017年08月05日 17時29分
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