産経ニュース、2017.8.6 10:00更新
http://www.sankei.com/premium/news/170806/prm1708060011-n1.html

日本のスーパーコンピューターの将来を光が照らしている。その名も「暁光(ぎょうこう)」だ。計算速度の世界ランキングで11月に3位に躍り出る見込みで、来年にはトップを目指す。開発を手掛けるのはベンチャー企業。「米中には負けられない」と強い使命感で突き進む。(原田成樹)

秋に世界3位へ

 年に2回発表されるスパコンの計算速度の世界ランクで今年6月、海洋研究開発機構・横浜研究所の暁光が69位に初登場した。まだ一部しか稼働していないが、11月までにフル稼働すれば国内トップの東大・筑波大を抜き、一気に世界3位となる見通しだ。

 ペジーコンピューティング(東京)を中核とするベンチャー企業グループが開発した。1つの演算処理装置に千個以上の回路を搭載して効率を高め、超高密度の半導体メモリーを採用。装置の冷却は従来のファンによる排熱ではなく、液体に丸ごと浸して強力に冷やす。日本の独自技術を詰め込んだ特注マシンだ。

 世界トップの座は日米中が激しく争ってきた。日本は2002年に海洋機構の「地球シミュレータ」が首位となったが、その後は米国が逆転。11年には理化学研究所の「京(けい)」が首位を奪還したものの、現在は8位に後退し、中国が9連覇中で独走している。

 各国が次の目標として狙うのは20年前後に登場する「エクサ級スパコン」で先陣を切ることだ。エクサとは1兆の100万倍を意味する言葉で、京の百倍もの計算速度を発揮する。

 国営新華社通信によると、中国は20年にエクサ級への到達を目指す。米国は「遅くとも21年の達成」を掲げ、政府がメーカーの開発を支援するプロジェクトを6月に立ち上げた。