【テルアビブ=飛田雅則】シリアのアサド政権は3日、過激派組織「イスラム国」(IS)から東部のデリゾールを奪還したと発表した。ISは「首都」と称していた北部ラッカに続き、油田地帯を抱えるデリゾールも失った。ISがシリアとイラクで支配していた主要都市は全て陥落し、支配地域を持ち「疑似国家」と称されたテロ組織は崩壊に一歩近づいた。

 ISはデリゾールの油田から産出される原油の密輸を組織の運営資金にしてきた。イラクとの国境に近く、ISの支配地域への人員や物資の移動の要衝ともなってきた。アサド政権軍は9月から、ロシアとイランの軍事支援のもとで奪還作戦を本格化していた。活動資金の源泉となってきたデリゾールを失い、ISは一段と追い込まれた。

 ただISに共感する潜伏細胞(スリーパーセル)は各国に散らばる。指導者の指示とは無関係に、一匹おおかみ(ローンウルフ)が報復テロを仕掛けるリスクはくすぶっている。

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