10月中旬の停電に続き、また朝の東急田園都市線でトラブルが起こった。

11月15日5時35分ごろ、田園都市線の池尻大橋―駒沢大学間(ともに東京都世田谷区)で、電車に電力を供給する架線の停電が発生。直後から同線は全線で運転を見合わせた。中央林間―二子玉川間については5時50分ごろから折り返し運転を開始したものの、停電が発生した区間を含む二子玉川―渋谷間は10時ごろまで不通となり、朝の通勤ラッシュ時間帯を直撃。上下合わせて155本の電車が運休し、約12万6400人に影響が出た。

■電気を送るケーブルがショート

東急によると、今回の停電の原因は変電所から架線に電気を送るための送電線「き電ケーブル」を覆っているポリエチレン製の被膜が何らかの理由で破れ、ケーブルを載せている鉄製の架台に内部の銅線が直接触れてショートしたためという。10月の三軒茶屋駅での停電は、駅の施設などに電気を供給する送電系統のトラブルだったため、電車の走行用電力は供給されていたが、今回は電車の走行用電力がストップした。

き電ケーブルはトンネル内の天井付近を通っており、今回トラブルが発生したのは池尻大橋駅構内の上り線トンネル内。発生当時ホームにいた利用客から「火花が光ったのを見た」との連絡が同駅係員にあったものの、その報告がすぐに関係者に伝わらなかったことから発生箇所の特定に時間がかかり、復旧までに約4時間半を要する結果となった。

田園都市線、特に地下区間がほとんどを占める二子玉川―渋谷間約9.4kmでは、この1年ほどの間に停電や発煙などのトラブルが相次いでいる。

10月19日には池尻大橋駅の隣駅、三軒茶屋駅で停電が発生し、9時過ぎから約3時間運転を見合わせたほか、7月7日には渋谷駅付近のトンネル内で信号関係のケーブルから発煙、その約1週間前の6月29日には桜新町駅で消防用の送水管が破損して水がトンネル内に吹き出した。2016年の8月にも桜新町駅で信号設備の故障が発生している。

東急によると、2016年度から現在までに発生した、列車の運行に30分以上支障を及ぼした輸送障害のうち、同社の責任によるものは今回のトラブルを含めて13件。このうち田園都市線は10件と群を抜いて多く、中でも二子玉川―渋谷間の地下区間での発生が6件だ。

■開業40年、進む老朽化

二子玉川―渋谷間は1977年4月に「新玉川線」として開業し、今年で開業から40年を迎えた。同社鉄道事業本部・安全戦略推進委員会の森智雄統括部長は「一概には言えないが、開業から40年が経ち老朽化が進んでいる。ほかの路線は輸送力増強工事などで施設のリニューアルを行っているが、田園都市線の地下区間は手が付いていなかったのは事実」と、老朽化が相次ぐトラブルの一因となっていると認める。

だが、「今回の事象は老朽化とは別と考えている」(森氏)。その理由は、今回ショートしたき電ケーブルが交換後8年と比較的新しいためだ。ケーブルの耐用年数は約30年で、通常は20年ほど使うという。

ケーブルの被膜が破れた原因は調査中だが、10月10日に行った目視での検査では異常は見つからなかったといい、地下区間では可能性のある漏水なども「現場付近ではなかったと聞いている」(森氏)。10月に起きた三軒茶屋駅の停電でも、原因となったケーブルは交換してから12年で、こちらも老朽化ではないと考えているという。

ただ、田園都市線は首都圏でもトップクラスの混雑率を記録する路線。最混雑区間は池尻大橋―渋谷間で、ピーク時には複線区間では限界に近い1時間あたり27本の列車が走る。2000年代半ばに比べればやや減少しているものの、列車本数も利用者数も開業時と比べれば大幅に増えている。

東急の「安全報告書2017」によると、2016年8月に桜新町駅で起きた信号関係の機器故障は「内部配線が長期間にわたる振動等によって、疲労破壊し、断線したため」とされている。混雑率180%を超える列車が1時間に30本近く走ることによる振動などが、想定よりも設備の老朽化に影響を与えている可能性もありそうだ。

この点について森氏は「定量的に証明はできないが、列車ダイヤや利用者も増えているので、その要因はあり得ると思う」と語る。

>>2以降に続く

配信2017年11月15日
東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/197701

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