明治維新の際の内戦、戊辰ぼしん戦争で、長州藩と敵対した会津藩があった福島県会津若松市の博物館「会津藩校日新館」館長の宗像精ただしさん(84)が26日、山口県萩市の松陰神社で講演した。

 約150人が聴講する中、宗像さんは「歴史の事実を消すことなく交流を深め、結びつきを強めたい」と語った。

 萩市の医師で「長州と会津の友好を考える会」代表を務める山本貞寿さん(78)の働きかけで実現した。

 会津藩は戊辰戦争で長州藩などの新政府軍に敗北。戦死者の遺体埋葬を禁じられたり、青森県に領地を移されたりするなど厳しい戦後処理を受けたと伝えられ、今も山口県を快く思っていないとされる。来年の維新150年も会津若松では戊辰戦争から150年と呼ぶ。

 宗像さんは「150年たったが、仲直りは歴史の事実をご破算にするということだからできない」と強調。しかしその一方で、遺体埋葬の言い伝えを否定する史料が発見されたことを紹介し、「会津も長州も同じ日本人として、日本の素晴らしさを世界に発信できるよう子供たちに教えていきたい」と述べた。

 また宗像さんは、会津の白虎隊士の生き残りの山川健次郎が長州藩士に保護されて教育を受け、東京帝大総長にまでなったことについても触れ、感謝の言葉を述べた。終了後、山本さんは「これからも交流を続けていきたい」と話していた。

2017年11月27日 14時47分
YOMIURI ONLINE
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