集団的自衛権と正当防衛権

──日本人は軍事の基礎を知らないのですか。

昔の軍事は相手を撃滅することだったが、今は外交の背景としての軍事がほとんど。国際的な問題だ。外交の背景になる軍事を誤解されずにしっかり確立しなければいけない。
そのためには国際条理に通じる軍事的常識を知らなければならない。おそらく日本と米国の関係においてもいろんな誤解があるのではないか。

たとえば「集団的自衛権」。今年10月から上智大学の特任教授になったマイケル・グリーン氏(米戦略国際問題研究所の上級副所長兼ジャパンチェア、元大統領補佐官)が皮肉交じりに、「日本人に集団的自衛権の意味を聞くと、100人いると100とおりの答えが返ってくる」と書いていたことがある。

──集団安全保障ではなく。

本当は集団安全保障(collective security)なのだが、集団的自衛権(right of collective self−defense)と日本人の誰もが言うのだからしょうがない、とも。

自衛権と正当防衛権とはそもそも違うものだ。自衛権は国際用語であるのに対し、正当防衛権は国内刑法上の言葉。実はこの言葉を英語に加え、フランス語、スペイン語、それにポルトガル語といったラテン系の言葉は同一に扱う。
ところが、日本とドイツ、それに中国、ロシアでは国内刑法上の正当防衛権と国際法上の自衛権の意味が別々になっている。

──3月に施行された安保法制では?

その内容はもっぱら限定的集団的自衛権を認めたことだといわれているが、法律そのものには集団的自衛権という言葉はない。
法律の前提として、2年半前の閣議決定に基づいた、日本の存在が危うくなった場合の限定的集団的自衛権という言葉はある。

──議論の主要テーマにもなっていました。

米国の海軍と日本の自衛艦が並走しているときに、向こうが撃たれたら自衛艦も撃ち返していいのかという話だ。最高責任者が防衛出動をかけなければ集団的自衛権行使にならないから、あくまで正当防衛権になる。
自衛隊法95条の武器使用に「国家は」とは書いてない。「自衛官は」とある。自衛官は自分の持っている武器のみならず、一緒にある武器を守るために、使用してよろしいと書いてある。それは英語でユニット・セルフディフェンスという。集団的自衛権とは関係ない。

──国内刑法が認めている正当防衛権なのですね。

あくまで自衛官の責任になる。そういう整理がされていない議論は多い。PKO(国連平和維持活動)における武器使用も駆け付け警護も集団的自衛権とは関係ない。国際法上の戦争をしない間は整理されていなくてもいいが、何かあった場合に大いに問題になる。
極めて常識的な問題として、集団的自衛権の行使と正当防衛権に基づく行為はきちんと分けないといけない。規則・法律と、現場における行動とがあいまいな形のままだと、とんでもないことになりかねない。

ミサイル防御にはあまりにも問題がありすぎる

──ミサイル迎撃ではどうですか。

振り返れば第1次安倍晋三内閣のときに安保法制懇談会ができ、そのときに4事例が出てきた。その中に北朝鮮から米国に向かっているミサイルを日本が落とさないと問題になるのではないかとの質問があった。これも実は破壊命令を出すかどうかの法律上の問題。

──できるのですか。

ある条件が整えば邀撃(ようげき)はできるに違いないが、ロフテッド軌道だったら、飽和攻撃を受けたら、弾頭が分かれたらどうかなどと、いろんなケースがありえて、ミサイル防御にはあまりにも問題がありすぎる。
私自身は陸上自衛隊の戦車兵だったので専門家ではないが、自民党の国防族の中には敵地攻撃をやろうと言う人もいる。米軍でさえ手こずり、目標情報さえつかめない。敵地攻撃で完璧を期すことはできないと感じている。

続きはソース
http://toyokeizai.net/articles/-/199689?display=b

★1: 2017/12/10(日) 23:53:52.14
※前スレ
【お花畑】日本人は「軍事的常識」が著しく欠如している★2 
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