http://www.sankei.com/smp/west/news/180117/wst1801170085-s1.html

 世界中で電気自動車(EV)の開発が進む中、東洋ゴム工業は17日、EV対応の自動車用部品の製品化に向けて、京都大学発のEVベンチャー、GLM(京都市)と共同開発を始めたと発表した。EV開発では部品の電子制御対応や車体の軽量化が重要で、高い技術力を持つ素材メーカーにとっては大きな商機となる。EV化の波を受け、新製品の開発や増産を決める動きが加速している。(安田奈緒美、大島直之

東洋ゴムは、EV化が進めば、サスペンションなどのゴム部品により高い次元の静粛性や振動減衰能力、電子制御への対応などが求められるとして、昨秋、EVを開発・販売するGLMと共同開発を開始した。EV用部品を受注生産ではなく自社開発製品として展開する考えで、金井昌之常務執行役員は「未来の自動車の足回りに不可欠な、付加価値の高い複合部品を実現したい」と話す。

 ほかの素材メーカーも、EVの走行距離を伸ばす軽量化素材や、リチウムイオン電池用素材の需要が拡大するとみて、増産や新提案に取り組んでいる。

 カネカはベルギーの子会社に約20億円を投じ、高性能発泡樹脂の生産能力を50%高める。製品は軽くて耐熱性や耐衝撃性に優れるため、世界のEVシフトにより需要が拡大するとみている。住友化学は、ガソリン車への納入実績がある高機能樹脂について、EV用部品としての活用を自動車各社に提案している。

 一方、リチウムイオン電池の正極と負極を隔てるセパレーター(絶縁体)の需要も急拡大している。東レは2020年までに1200億〜1300億円を投じ、生産量を現在の3倍の年20億平方メートルに引き上げる方針だ。韓国での増産を計画しているが、「将来はEV普及が進む欧州や米国、中国などに新しい拠点を持つ可能性がある」としている。

 ニッセイ基礎研究所の百嶋徹・上席研究員は「EV化の波を受け、素材メーカーが高い技術力を要するビジネスを拡大する流れは今後も続くだろう。日本の自動車産業が世界で勝ち残るには、自動車メーカーと素材メーカーが手を結んでいけるかどうかもポイントになる」と話している。

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