https://www.cnn.co.jp/m/world/35116271.html

2018.03.16 Fri posted at 11:49 JST
(CNN) 米軍事情報会社IHSジェーンズは、新しい衛星画像を調べた結果、北朝鮮の寧辺にある研究施設で、原子炉のうち1基の予備試験が始まった徴候を確認したと発表した。

実験用軽水炉(ELWR)と呼ばれるこの実験炉は、早ければ年内にも、「ほとんど何の警告もなしに」運用が開始される可能性があると予想している。

ジェーンズによると、2月25日に撮影された衛星画像には、同原子炉の煙突から蒸気が放出される様子が写っていた。これは「同施設で機械の試運転を行っている徴候」で、煙突は「凝縮されないガスを原子炉の一次回路から放出する」ための施設と分析している。

北朝鮮がこの原子炉を発電に利用する計画なのか、それとも核兵器開発の意図があるのかは分かっていない。

ジェーンズの専門家は実験用軽水炉について、「表向きの説明通り、民間の発電に使われる可能性もあるし、核開発に転用される可能性もある」と解説する。

同原子炉は送電網に接続されている。業界専門家によると、本格稼働すれば約25〜30メガワットの発電能力があり、約5万世帯に電力を供給できる。

専門家によれば、「理論的には、もし同原子炉が稼働して、プルトニウムとトリチウムの製造に転用されれば、北朝鮮が備蓄を拡大することが可能になる」。トリチウムは核兵器で最も重要とされる熱核反応物質。

米ジョンズ・ホプキンズ大学の北朝鮮研究機関「38ノース」によると、寧辺では隣接する原子炉でも、稼働の兆候が確認された。2月に撮影された衛星写真には、5メガワット原子炉の付近で発電ホールから蒸気が立ち上り、川の氷が解けている様子が確認されたという。

川の氷が解けたのは、「原子炉の稼働状況を隠すために」冷却水の排水管が川まで延長されたためではないかと、同機関の専門家は推測している。

同原子炉はELWRの上流にあり、川の水を冷却水として取り込んで、加熱水を川に放出している。

38ノースでは、「今回の証拠が示すように、もし同原子炉が再稼働したのであれば、北朝鮮が恐らくは核兵器開発のためのプルトニウム生産を再開したことを意味する」と分析している。

2月に撮影された衛星写真には5メガワット原子炉の付近で発電ホールから蒸気が立ち上っていた
https://www.cnn.co.jp/storage/2018/03/16/29d1251f2c327e3be271666a3a2eb6fa/t/320/180/d/north-korea-nuclear-activity-38-north-1.jpg
IHSジェーンズは北朝鮮の寧辺にある研究施設で予備試験が始まった徴候を確認したと発表
https://www.cnn.co.jp/storage/2018/03/16/f24d716b9b039afd5840bd5cc99358ce/t/320/180/d/north-korea-nuclear-activity-janes-2.jpg