出生直後から母子が肌を触れ合う育児法「早期母子接触(カンガルーケア)」で適切な安全配慮が行われなかったため男児に障害が残ったとして、草津市内の両親が、産婦人科医院を運営する同市の医療法人に約1億6千万円の損害賠償を求めた訴訟は27日、大津地裁(西岡繁靖裁判長)で和解が成立した。原告側によると、医院側が安全対策を取らなかったとして解決金を支払う内容。
 訴状などによると母親は2013年4月、出産直後の男児と向き合った添い寝状態のまま放置された。その間に、男児が何らかの原因で窒息した可能性があり、心肺停止状態から脳性まひになったとしている。
 早期母子接触は、母子の心身の安定に効果があるとされる。日本周産期・新生児医学会などが12年に作成した早期母子接触のガイドラインでは、出産直後の新生児の呼吸は不安定なため、担当者の付き添いや呼吸状態の観察など実施時の注意点を挙げている。原告側によると、和解勧告では添い寝の状態は早期母子接触に当たり、ガイドラインが挙げる安全策が取られていなかったとしているという。
 男児の両親は「勝訴的和解で気持ちの整理がついたので前を向きたい。今後、私たちのような不幸な例が出ないようにしてほしい」と話した。

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