11日午前3時40分頃、大分県中津市耶馬渓やばけい町金吉かなよしで山の斜面が大規模に崩れ、近くの住宅が土砂に埋まるなどした。

 県などによると、4世帯の男女計6人(21〜90歳)が巻き込まれ、会社員岩下義則さん(45)が死亡、残る5人は安否不明。県は陸上自衛隊に災害派遣を要請し、自衛隊や県警、消防など約610人態勢で捜索活動を続けている。

 県災害警戒本部などによると、山腹から高さ約100メートル、幅と奥行きがそれぞれ約200メートルにわたって崩れ、住宅3棟が埋まり、1棟に土砂が流れ込んだ。岩下さんは自宅付近で見つかり、死因は圧死だった。市は午前8時、巻き込まれた世帯の他に現場一帯の梶ヶ原地区の4世帯13人にも避難勧告を出した。

 大分地方気象台によると、耶馬渓では3月23日以降、ほとんど雨が降っておらず、4月6日に4・5ミリ、7日に1・5ミリの雨量が観測されただけだった。

 現場周辺は昨年3月、県が土砂災害防止法に基づき、土砂災害時に住民に被害が出る可能性がある「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」と、さらに著しい被害が出る恐れのある「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」に指定していた。政府は11日朝、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置。菅官房長官は記者会見で「人命を第一に被災者の救急・救助に全力を挙げる」と語った。

 国土交通省は同日午後、土砂災害の専門家3人を現地に派遣し、ヘリコプターなどで被害状況を調べた。調査チームによると崩れた裏山の上部には亀裂があるといい、同省国土技術政策総合研究所の桜井亘・深層崩壊対策研究官は「岩盤の風化が原因とみられる。ただ天候が悪化すれば、さらに崩れる恐れがある」と指摘。同気象台も14、15日には現場周辺で雨が降る可能性があるとして二次災害への注意を呼びかけている。


http://sp.yomiuri.co.jp/photo/20180411/20180411-OYT1I50047-1.jpg
http://sp.yomiuri.co.jp/national/20180411-OYT1T50137.html