木更津市、君津信用組合(本店・木更津市)、木更津商工会議所の3者が連携し、
地域限定で利用できる電子通貨の導入へ動き出した。電子通貨は「アクアコイン」と呼ばれ、
このほど始まった実証実験も好調に滑り出し、3者は実証実験の結果を踏まえて今秋にも本格導入する考え。
官民が連携した地域電子通貨の試みは全国的にも初の取り組みとしており、
地域経済活性化につながるかが注目されそうだ。(永田岳彦)

 ◆消費活性化狙う

 同市は東京湾アクアラインの通行料値下げに伴う来訪者の増加や消費増の効果があったが、
恩恵を受けるのは新しく進出した大型商業施設に集中していた。逆に地元の住民がアクアラインを使って
対岸の東京都や神奈川県に出かけてしまい、地元の経済活性化に逆行する状況となっていた。
利便性が高い地域電子通貨の導入を地域の消費活性化の“起爆剤”としたい考えだ。

 実証実験は開始から2週間が経過し、導入店舗も先月28日の102店から116店に拡大。
同信組によると「(実証実験に参加している)職員もよく利用しており、市職員が利用できるように
出張チャージもしていて不満は出ていない」という。

 ◆加入300店目標に

 実証実験は6月24日までで市職員、同信組職員、商議所の職員約1200人が専用アプリをダウンロードして、
飲食店のほか、ホテルなどの利用時にアクアコインを使用して、支払いを済ませる。
今秋の本格稼働までには参加を約300店、利用者も増やしたい考えだ。

 同市の渡辺芳邦市長も「(一定数の利用者や参加店など)市場が確立したら、ボランティアによる
利用ポイント付与などを検討したい」と期待を込める。

 先月28日の実証実験初日は、同信組の宮沢義夫理事長が同市内のパン屋「クロワッサン木更津
ワシントンホテル店」で、アクアコインを使用して買い物し、「お金を出したり受け取ったりという手間が
省けて非常に楽」と早速PRした。店側も「(専用機器の設置といった)初期投資がほとんどかからないし、
コインは随時換金できるので非常に便利」(同社の橋爪優作取締役ディレクター)と話す。

 ◆初期投資を抑制

 電子地域通貨は仮想通貨の技術「ブロックチェーン」やスマートフォンの専用アプリを活用する形で、
私鉄や地域金融機関で徐々に広がりをみせている。クレジットカードの決済などに比べ、専用機器の
設置など初期投資費用が抑えられる利点が評価されているためだ。

 昨年は、近鉄グループホールディングスが大型複合ビル「あべのハルカス」(大阪市)内で利用できる
「近鉄ハルカスコイン」の実証実験を行ったほか、飛騨信用組合(岐阜県高山市)が地元の飲食店などで
使える電子通貨「さるぼぼコイン」を導入している。

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【用語解説】アクアコイン

 木更津市、君津信用組合、木更津商工会議所の3者が連携して導入を目指す電子地域通貨。
スマートフォンに専用のアプリをダウンロードして、同信組に代金とともにチャージを依頼して利用する。
1ポイント=1円で、取扱店の店頭に置いてあるQRコードを読み込めば、スマートフォン内のコインから
決済され、買い物が可能。店側は随時コインを換金できる。

https://www.sankei.com/region/news/180412/rgn1804120025-n1.html