毎日新聞 2018年4月26日

千葉市教委は市立中に通う中学生が日焼け止めクリームを持参して校内でも使えるようにするため、今月中にも市内全55校に通知を出すことを決めた。
日焼け止めクリームの使用を巡っては、校内での使用禁止を指して「ブラック校則」とも指摘されており、
市教委は通知に「日焼け止めクリームなどで紫外線の防御に確実に対応してほしい」と盛り込む予定だ。【信田真由美】

市教委が3月に全55校を対象に調査したところ、2校が原則禁止していたことが判明した。他の学校では職員会議で協議し、校長が承認しているケースが多かった。

市議会3月定例会で、自民党の岩井雅夫議員が日焼け止めクリームの学校への持参などについて質問。
市教委は2校が原則禁止していることを明らかにしたうえで、「生徒の健康を第一に考え、日焼け止めクリームの持参、使用について柔軟に対応することが必要」との見解を示していた。

原則禁止としている中学校の教頭は3月、取材に「皮膚が弱いといった理由で事前に教職員に相談すれば持ち込みを許している」としつつ、「勝手な行動を許すと規律が乱れる」と禁止の理由を話した。

子供の学習支援に取り組むNPO「キッズドア」(東京)が今年2月、全国の10〜50代の男女2000人にアンケート調査したところ、
中学時代に日焼け止めを禁止する校則があったと答えた割合は、40代は5・2%だったものの30代以下では、30代3・32%▽20代5・36%▽10代8・23%と若い世代ほど増加。
同NPOは「日焼け止めクリームを『おしゃれ』と認識している学校が多い」とみている。渡辺由美子理事長は「どうすることが子供にとっていいのか、学校だけに任せず、社会全体が関心を持つべきだ」と話している。

西井皮膚科クリニック(大阪府豊中市)の西井貴美子院長は、
「紫外線は将来的な皮膚の老化や皮膚がん、免疫力の低下につながり、紫外線対策に日焼け止めクリームが有効ということは学術的に示されている。禁止することはナンセンス極まりない」と指摘。
「日本では化粧品とみなされているが、米国やカナダでは医薬品として扱われる」とし、「学校側が正しい知識を身につけ、禁止にするのではなく、日焼け止めの正しい付け方を指導するべきだ」と話した。

■「学校生活における紫外線対策に関する日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の統一見解」(2015年9月)

・子供の時から適切な紫外線対策を行うことは生涯にわたり健やかな肌を保つために大切な生活習慣
・むやみに強いSPF(※)の日焼け止めを使わなくてもSPF15以上であれば学校生活における紫外線対策として十分
・たっぷりと均一に塗らないと効果が得られない。顔ではクリームならパール大、液なら1円玉大を2回塗りする
・効力が弱くなったり、汗で流れたりするため、2〜3時間おきに重ね塗りをすると効果的
・プールの水質汚濁が懸念されるが、汚濁されないことは複数の実験で明らかになっている
・子供が使うのに適した日焼け止めクリーム
 ▽SPF15以上、PA++〜+++が目安
 ▽「無香料」「無着色」の表示があるもの
 ▽プールでは「耐水性」「ウオータープルーフ」の表示があるもの
 ※紫外線の防御効果を示す指標

https://mainichi.jp/articles/20180426/ddl/k12/100/021000c