北海道内で漁獲量が増えているブリについて、道立総合研究機構食品加工研究センター(江別市)と道内の食品加工会社などが手を組み、加工品の開発に乗り出す。

脂質が少ない道内産のブリは価格も安く、漁業関係者に「厄介者」として扱われてきた。加工技術を確立することで消費の拡大を狙い、知名度アップを図る。

 道内では近年、ブリの漁獲量が1万トン前後で推移し、豊漁が続いている。函館頭足類科学研究所や道によると、北海道周辺やブリの産卵場である東シナ海から日本海南側の海水温が高いことが影響し、2016年の漁獲量は1万1800トンで20年前の48倍に上った。

 ただ、生鮮品として流通する大型ブリは1割しか取れず、残り9割の小中型は脂質が少ない。ブリ大根や照り焼きなどに料理しても、脂質が多い養殖ブリの味に慣れた消費者には不評で、加工せず冷凍して中国に輸出しているのが現状だ。

 一方、うまみ成分であるイノシン酸がカツオよりも多く含まれ、グルタミン酸が多い昆布と組み合わせれば良質なダシがとれる特徴がある。このため同センターは、道内産ブリの有効な活用方法を探ってきた。

 道は今年度から3年間で、ブリの加工技術を開発して確立するため、関連予算1800万円を計上。道総研網走水産試験場が、三枚に下ろして蒸した身を半干しにする「なまり節」をつくり、同センターが荒節やフレークを試作。道内の水産加工会社3社が20年度末までに製品化を目指す。

 世界的にツナ缶の需要増で原料のマグロが不足し、カツオも高騰しており、脂質が少ないブリが代替となり得る油漬けや、荒節、フレークの製造を検討している。

 同センターの吉川修司主査は「道内産のブリは品質上不利といわれてきたが、脂質が少ない特性を生かした加工品をつくる逆転の発想に立てば、有効な加工原料になる」と話している。


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