企業が景気への自信を深めている。産経新聞社が主要企業126社を対象に実施したアンケートでは、足元の国内景気について、
約9割が「拡大」「緩やかに拡大」と答えた。過去最高水準にある企業収益などが景況感の改善につながっている。

今年後半の見通しについても約8割が「拡大」「やや拡大」としたが、保護主義に傾く米通商政策の影響や顕在化する人手不足に対する懸念は根強い。

 無回答を除いて計算すると、足元の国内景気が「拡大している」と答えた割合は1%、「緩やかに拡大している」は89%で、
両者を合計すると90%を占めた。

これに対し、「横ばい」は10%。「緩やかに後退している」「後退している」と答えた企業はなかった。

 「拡大」「緩やかに拡大」と答えた企業に、理由を複数の選択肢から2つまで挙げてもらったところ、
最も多かったのは「企業収益の増加」で54社。上場企業は平成30年3月期に過去最高益を更新する見通し。

後には「雇用情勢の改善」(30社)、「海外経済の回復」(29社)、「個人消費の回復」(28社)などが続いた。
また、「その他」も25社あり、具体的には企業収益の増加を背景に「設備投資が増加している」(銀行)との声が多かった。

 「横ばい」とした理由で最も多かったのは「個人消費の低迷」で12社だった。

また、今年後半の国内景気の見通しでも、「拡大する」と答えた割合は2%、「やや拡大する」は81%で、拡大傾向とみている企業が8割を超えた。
「横ばい」は17%で、「やや後退する」「後退する」はゼロだった。足元と比べると横ばいの割合がやや高いが、
全体的には企業の景況感の底堅さがうかがわれる。

 「拡大」「やや拡大」と答えた企業に、理由を2つまで挙げてもらうと、
ここでも「企業収益の増加」が36社で最も多く、好調な業績が景況感の追い風となっている。
ほかは、設備投資の増加など「その他」(35社)、「個人消費の回復」(30社)、「海外経済の回復」(28社)などだった。

 一方、今年の年末までを展望した上で国内景気の懸念材料を書いてもらったところ、

保護主義的な色彩を強める「米国に端を発する貿易摩擦」(建設)を挙げる向きが多い。
米国と中国の貿易摩擦が激化すれば、輸出伸び悩みを通じて中国景気に下押し圧力がかかるなどして
「世界経済の減速や為替の大幅な変動」(鉄鋼)を促し、国内景気にも悪影響を与えかねない。

 また、一部業種で深刻化している「人手不足が経済成長の制約要因にならないか」(商社)との不安も根強い。
「人手不足により、人件費上昇や事業見直しを行う企業も出ている」(小売り)との声があった。

http://www.sankei.com/economy/news/180505/ecn1805050002-n2.html
http://www.sankei.com/economy/news/180505/ecn1805050002-n1.html