岐阜県を舞台にしたNHK連続テレビ小説「半分、青い。」で東海、甲信地方を中心に食べられている郷土食「五平餅」が登場することから、地元を中心に五平餅の売れ行きが急増している。“ソウルフード”が、ドラマ効果でヒット商品となっている。

 「半分、青い。」撮影の舞台になった岐阜県JAひがしみの管内。恵那市岩村町で五平餅専門店「みはら」を営む長尾美佐子さん(74)は「5月の連休中は昨年の3倍は売れた。お土産として持ち帰る観光客も多い」と喜ぶ。

 五平餅は炊いたうるち米をつぶし、たれをつけて串焼きにしたもの。わらじ型、だんご型などさまざまな形があり、しょうゆベース、みそベースなどたれも多種。ドラマではヒロインの実家の食堂で登場したり、俳優の豊川悦司さん演じる少女漫画家が口にし「うんま!(うまい) これは真実の食べ物だ」と絶賛したことから注目され、人気に火が付いた。

 五平餅専門店「みはら」で使う米は全てJAひがしみの管内で生産されたもの。同管内を含む美濃地域で生産された「美濃コシヒカリ」は、日本穀物検定協会の食味ランキングで3年連続「特A」評価を受ける。長尾さんは「おいしいお米があってこその、おいしい五平餅。ドラマの人気とともに、多くの人にPRできれば」と期待する。

 同市は、市内で五平餅を販売する37店舗の情報をまとめた「恵那五平餅マップ」を3万部作成し、市役所の他、市内の観光案内所、公共施設などで配布。恵那市の公式ホームページからもダウンロードできる。

特製みそでこく 愛知・JAあいち豊田女性部

 JAあいち豊田産直プラザの店頭で五平餅を販売するのは、同JA女性部下山支部の「七輪の香」。販売は毎月第2・第4木曜日で、正午過ぎには用意した140本が完売する。

 五平餅の原料は、中山間地の豊田市下山地区で女性部員らが栽培する「ミネアサヒ」。前日に地元の加工場にメンバーが集まり、炊飯し手作りしている。みそは地元の大豆で仕込んだものを3年間寝かせてから使用し、こくのある甘味が特徴だ。五平餅の大きさはこの地域で標準的なものの3分の2とし、子どもも食べやすいおやつサイズが好まれている。値段は1本210円。

 五平餅用のみそは、1パック100円で別売りしている。こんにゃくや豆腐、ダイコンにあえるなどさまざまな用途に使用できると、販売と同時に売り切れてしまう。

 組織立ち上げからのメンバー、酒井千恵さん(74)は「地元の素材でおいしいものを食べてもらい、地産地消につながればと活動しています」と話した。

日本農業新聞
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