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明治の終わり、当時の帝政ロシア領だったサハリン北部に、北海道庁の技師が軍の指令を受けて潜入し、ひそかに石油の資源調査を行っていたことを示す文書が見つかりました。現在、サハリンでは石油などの生産が盛んに行われていて、専門家は「100年以上前にこの地域の資源開発を予見している貴重な資料だ」と話しています。

見つかったのは「北樺太調査報文」という名前の文書です。1912年、明治45年に当時、北海道庁の技師だった石川貞治がまとめたもので、ひ孫の男性が札幌市内の自宅で見つけました。

文書では、鉱物資源の探査を専門に行っていた石川が、日本海軍から極秘の指令を受け、当時帝政ロシア領で「北樺太」と呼ばれていたサハリン北部に潜入し、1か月にわたって石油の埋蔵量などの調査を行ったことが記録されています。

そして、北樺太の石油は、埋蔵量が豊富で質もよく、将来、東洋有数の石油生産地になる可能性があると記されています。

当時は、船の燃料が石炭から石油に切り替わっていく時期で、調査は日本軍が早くから海外の石油資源に目をつけていたことを示しています。

現在、サハリンでは、石油や天然ガスの生産が盛んに行われていて、樺太の歴史に詳しい北海道大学の原暉之名誉教授は「100年以上前にこの地域での資源開発を予見した貴重な資料だ。ロシア側もきちんとした記録を残していない時期に現地に行って成果をあげていて、先駆的な情報収集になったのではないか」と話しています。

6月5日 14時19分
NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180605/k10011465471000.html