神戸製鋼所によるアルミ・銅製品の品質データ改ざん問題で、同社の直営工場に勤める社員らが、検査結果の数値書き換え行為を「メイキング」と呼んでいたことが、神鋼関係者への取材で分かった。複数の工場で同じ隠語が使われていたという。東京地検特捜部と警視庁は、不正が組織ぐるみだったとみて、実態解明を進めている。

 関係者によると、神鋼の工場のうち、捜索対象になっているのは、アルミ・銅製品の直営工場で、改ざん行為の中心だった長府(山口県下関市)、真岡(栃木県真岡市)、大安(三重県いなべ市)の3製造所。

 複数の神鋼関係者によると、長府製造所では、銅板の硬さなどを調べる検査で、顧客の要求水準を満たさない結果が出ると、数値を書き換え、顧客に渡す検査証明書を改ざんしていたという。同製造所の元社員はこうした行為について、「『メイキング』と呼んでいた。製品は(安全性には問題がないと)腹をくくって出荷していた」と話す。

 真岡製造所でも、アルミ缶などに使われる製品検査でのデータ改ざん行為が、「メイキング」と呼ばれていた。こうした隠語は両製造所で遅くとも2000年ごろには使われていたという。

 元社員らは改ざんを続けた理由について「顧客の納期を守るためだった」と証言。製品の用途を熟知し、現場独自の安全試験を実施していたことなどから「問題はないと思っていた」と振り返った。


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