大阪府北部を震源とする18日の地震の影響で、大阪や京都で相次いだ訪日外国人客の宿泊予約のキャンセルの動きは、交通網の正常化に伴い、沈静化しつつある。ただ、観光関係者の間では、余震や風評被害で訪日客が減少するとの懸念の声も出ている。正確な情報提供が重要だとして、官民でつくる関西観光本部(大阪市)は、訪日客向けの情報発信を強化し、風評被害を防ぐ取り組みを始めた。

訪日客が多く泊まるリーガロイヤルホテル(大阪市)では、18、19日の両日で個人客のキャンセルの合計件数は、通常より多い約200件となった。帝国ホテル大阪(大阪市)でも、18日に外国人の個人客のキャンセルが25件前後あった。しかし、交通網の正常化や商業施設の営業再開が進むのに伴い、20日以降は両ホテルともにキャンセルは減少し、通常の件数に戻りつつあるという。

しかし、訪日客減少の懸念が完全に消えたわけではない。JR京都駅前の京都センチュリーホテル(京都市)には地震以降、訪日客から「首都圏と関西はどちらが安全か」などの問い合わせが複数寄せられた。広報担当者は「新規の宿泊予約への影響は、まだ予断を許さない」と話す。地震に遭遇した訪日客からも不安の声が出ている。中国から来た大学院生の男性は(26)は「周囲では地震を怖がる外国人旅行者が多かった。少なからず観光に影響が出るのでは」と話した。また、タイから来たスワンヌー・パッチャラパンさん(28)は「冷静に対応していた日本人を見て安心した。また日本に来たいが、揺れは怖かった」と話す。

訪日客がもつ地震への不安を払拭(ふっしょく)してもらおうと、関西観光本部は20日から、フェイスブックやインスタグラムなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて、高槻市などの駅構内や道路の写真、大阪・道頓堀のグリコ看板周辺の動画を掲載して、安全をPRしている。同本部は「訪日客が安心して旅行できるように、関西地区の正確な情報を伝えていきたい」としている。【宇都宮裕一】

6/23(土) 20:09
毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180623-00000075-mai-bus_all