ホテル不足懸念の中 豪華客船が「五輪限定ホテル」に (動画)
MX (ビジネス - 2018年7月3日 18時30分)
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2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、大手旅行会社が船をホテルの客室にする、いわゆるホテルシップ活用の取り組みを発表しました。ホテル不足が懸念される中、行政からも大きな期待が寄せられています。

 海の上を優雅に進むのは、全長261メートルを誇る豪華客船「サン・プリンセス」号です。広い海を望む屋上デッキには、映画を見ながら楽しめるプールがあります。また船内ではきらびやかなショーも開催され、レストランはビュッフェスタイルで数々のおいしそうなケーキも並んでいます。

 大手旅行会社のJTBは、2年後の東京オリンピックの開催期間中、横浜港の山下ふ頭に停泊するクルーズ客船を「ホテルシップ」として活用する取り組みを発表しました。会見でJTBの高橋広行社長は「窓のない部屋はこれまで旅館業法上、宿泊施設として認められなかった。それが今回、法的に規制が緩和された」と期待を語りました。JTBによりますと、政府も活用を推進してきたホテルシップが一般向けに販売されるのは日本で初めてのことといいます。滞在は2泊3日で料金は1人当たり7万円台から、スイートルームは60万円台を想定しています。滞在中の食事やショーの観覧、プールなどの利用料全てが含まれます。

 このホテルシップは18日間の開催期間中、3万6000人分の宿泊を確保できるとあって、ホテル不足が懸念される中、行政も期待を寄せています。停泊予定の山下ふ頭のある横浜市の林文子市長は「(停船する山下ふ頭では)ハーバーリゾート形成に向けて、再開発を予定している。併せて、街中での観光やグルメ、エンターテインメントをもっと楽しめるよう、街の魅力づくりやツアーの開発にも取り組む」と述べました。

 一方、東京港にもホテルシップがやってきます。東京港に停泊する予定のホテルシップは、世界最大級のクルーズ会社・MSCクルーズが所有する「リリカ」という船です。全長はおよそ274メートルで、992の客室を持ち、最大で2679人が宿泊できます。オリンピック・パラリンピックの開催期間を含む2020年7月17日から9月7日の間、臨海部の競技会場からも近い、東京・江東区若洲の「15号地木材ふ頭」に停泊する予定です。MSCクルーズジャパンの区祥誠営業部長は「ビジネスホテルが多い中、豪華な客室があるホテルは結構少ないので、VIPや海外客に向けたホテルとしていいのではと思っている」と話しています。宿泊の対象者などは現在調整中で、2019年初めごろに発表する予定です。また、オリンピックが終わってからパラリンピックが始まるまでのおよそ2週間は、一般向けの日本周遊クルーズを考えているということです。区さんは「五輪クルーズという形でできれば」と話します。

 ホテルシップとして停泊するためには上下水道設備を整備する必要があり、今後、港湾施設を管理する東京都とホテルの態勢づくりについて協議を進めることにしています。東京都はオリンピック期間中のホテルシップを通じて、東京港のクルーズ客船誘致につなげたい考えです。


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